2012年11月17日

2012-11-17

誰のためにブログを書くのか。

改めて考えてみると、想定読者は未来の自分だ。むかしあれについて考えたことがあったなーとか、あの出来事があったのはいつだったかなーとか、検索するとすぐに出てくる。ツイッターではなかなか蓄積ができない。一応Twilogというのはあるし便利に使っているけれど、Twitter社の公式サービスではないからいつどうなるかわからない。

なにしろブログというのは自分が興味のあることを書いているわけだから、一番楽しめる読者は将来の自分のはずだ。公開している結果として、どこかの誰かに何らかの感想を持たれることはある。でもそれはあくまで結果で、「メディアとしてのブログ」ではないフツーの個人ブログは、書き手当人に一番メリットがあるのだと思う。

私にとって振り返る機会がありそうで、それなりに記録しておくべきことがありそうなことというと、流通・チェーンストア・外食関連のよしなし事が多くなる。結果最近はご覧のようなエントリ群になっているわけだ。でもツイッターをやっていなかった頃は、もっとバラエティに富んでいた。日々の心象風景や芸能関係のニュースなどは、今はツイッターに書き捨てている。以前はブログに書いていたことだ。政治のことも少しは書いていた。この手の話題は「思い出すこともないから記録する必要もない」と判断しているようだ。

しかしこういった日常的な話題の中にも、将来思い出したくなるだろう出来事もある。久しぶりにツイッター開始前の気分になって、記録しておこう。

-----

Tomato n' Pineが解散を発表した。

Tomato n' Pineオフィシャルホームページよりお知らせ
2012年12月29日をもって、2010年5月からスタートしたTomato n' Pineシーズン2を終了とし、それをもってTomato n' Pineは散開致します。メンバーはそれぞれ、2013年から新たなステージに向かって進んで行きます。

2009年4月からのシーズン1から始まって約3年半の活動を見守ってきてくださったファンの皆さま、本当にありがとうございました。
和田えりかよりお知らせ
みなさんお久しぶりです。和田えりかです。

突然の報告で驚かしてしまったと思うのですが、トマパイは12月をもって散開することになりました。

トマパイで芸能界に入って、たくさんの事を学び、いろいろな経験ができました。

たくさんの方と出会えてコミュニケーションがとれて嬉しかったです。

トマパイのWADA、そして事務所との契約も終了します。

今まで私を支えてくださったファンのみなさん、スタッフのみなさん、全ての方に感謝しています。

和田のブログはこれを最後に終了します。

今まで読んでくれて本当に本当に有難うございました。

残りわずかですが、トマパイをよろしくお願い致します。

最後に告知をさせてください。

@12.2 PS2U @12.29 ワンマンライブ

みなさん、一緒に盛り上がりましょう〜!

是非会いにきてください。

和田えりか

このニュースもツイッターで知ったわけだが、まず思ったことは「もったいない」だった。アイドル戦国時代などと呼ばれるようなガツガツしたシーンで、まるでガツガツしていないチルアウトアイドルとも言うべき独自のポジションだった。「ガツガツしてないからこうなったのかも」と思わないでもないが、だったら他のグループと同じようなノリになってほしかったかというと、まったくそんなことはない。

現場に足を運んだことはなく、またファンの自覚もなかったが、こんなに残念な気持ちになっているのが我ながら不思議だ。気がつかなかったけれど、もしかしてファンだったのだろうか?

「解散するとなると急にファン面する連中が出てくる」と揶揄する者もいるが、何かが終わる時(グループや組織、人の命も含め)に自分がそれを好ましく思っていたことに気づき、動揺を吐露することは誰しもあるだろう。元々のファンにしてみれば「こういう連中がお金を落としていれば解散しなくてすんだかもしれないのに」と言いたくもなるだろうし、その気持ちはわかる。しかし誰もがすべてのことに対応できるわけでもない。「こうなる前にどうにかしておけばよかった」という後悔は無念の解散には必ずついて回り、今まさに少なからぬ人が忸怩たる思いをしていることだろう。悔恨とともに別れを惜しんでいる人に冷笑を浴びせるのは、下衆なことだと思う。

当ブログの古くからの読者の中には覚えている人もいるかもしれない。08年にハレンチ☆パンチ(略称ハレパン)というグループが風前の灯になっている時に、こう書いた。
応援していたグループが、いつの間にかひっそり解散していたことに気づく。ちゃんとしたさよならも言わないままに。そんな経験を繰り返し、人は煤けた大人になっていく。あるいは遠巻きに見つめるウォッチャーとなっていく。私のように、とは言うまい。みんなそうなのだ。(あるガールズポップユニットの変遷
今の私は特に誰のファンということもなく、その時々の気に入った音楽を聴くだけだ。もとより党派性が嫌いということもあるが、あまり思い入れを持たないようにしているのかもしれない、と気づくこともある。

だから「実はファンだった」というつもりはない。ただ、長くトマパイのことを忘れず、折りにふれ曲を聴き返そうと思うばかりだ。


Tomato n'Pine(Wikipedia)

Tomato n' Pine(YouTube)
posted by kaoruww at 23:59| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年11月08日

シナモンロールのシナボンが日本再上陸

シナボン/日本再上陸、六本木の1号店を公開(流通ニュース)

アメリカのフォーカスブランズインターナショナルが運営するCINNABONは、世界51カ国に約900店を展開している。同社はシアトルズ・ベスト・コーヒーも運営しているが、日本でシアトルズを展開するブランドパートナーズ株式会社がマスターフランチャイジーとなり、11月15日に日本再上陸の運びとなった(シナボンジャパン公式)。

再上陸ということは過去に日本進出に失敗しているわけで、その時の運営主体が名古屋人のソウルフードといわれるスガキヤを展開するスガキコシステムズである。1999年に日本1号店をオープンし店舗を増やしたものの、早々にブームは終焉。2009年には最後の店舗がなくなり10年で終了という短い命であった。

シナボン何度か足を運んだことがあるが、個人的にはきらいではなかった。日本向けにローカライズする気のないそのシナモンロールは、世界でそれなりに受け入れられている説得力があった。ただし同時に、最初は行列店になったもののすぐに人気が下火になってしまった理由もよくわかった。アメリカのローカライズしてないスイーツはどういうものかというと、要はデカい・甘い・香りが強いの三拍子が揃っているということ。Wikipediaにも日本撤退について触れられているが、ともかく大きすぎる上に頭痛がするほど甘い。シナモンの匂いも容赦ない。客の主体となる女性客は見るだけで怖気づき、食べてカロリー過多を確信するという代物で、1度ならずも2度まで食べるのは余程のスイーツ好きであったろう。また日本のスイーツ好きとは単に甘ければいいというものではなく、可愛らしい見た目と適度な甘さ、繊細な風味を求めるものだ。巨大かつ過剰に甘いパンのような、言っちゃなんだが「雑なスイーツ」は、日本市場に居場所がなかったのだ。味が単調すぎるのも「一度食べれば十分」と思わせた理由の一つだろう。最後まで頑として味も量も変えなかったスガキヤは本場のやり方にこだわったのか、単に交渉力がなくて日本向けに変えたくても変えられなかったのか、今となっては藪の中である。

さて今回再上陸する新生シナボンはどんな方針なのか、注目していた。
取締役運営本部本部長は「米国のレギュラーサイズ商品は日本人には大きめのサイズなので、今回は小さ目のミニボンを中心に展開する。フォークとナイフが無くても食べられる一口サイズのシナバイツを投入する。今後は、日本市場にあわせた商品開発も実施したい」
シナボンクラシック税込380円、ミニボンは280円、シナボンスティックは4本300円、10本600円、シナバイツ4個320円、ドリップコーヒー280円
ミニボンは定番であるクラシックの3分の2の大きさで、こちらを主力にするとのこと。賢明である。ともかく小さくしなくちゃ始まらない。もう一つの問題である味はどうか。今日は報道関係者限定のお披露目なので、そこのところはわからない。だが、気になるツイートがあった。

だはぁ。ちょっとは加減しないと…

今後の日本での展開は「2017年には50店、60億円の規模にしたい」とのこと。5年で50店舗、年に10店ペースで出店ということらしい。シアトルズ・ベスト・コーヒーの店舗一覧を見たら42店舗しかないのでかなりチャレンジングな目標といえる。どう考えてもクリスピー・クリーム・ドーナツ同様大商圏でしか成立しない業態で、かつ飽きられやすいという弱点を持つシナボンである。あまり風呂敷を広げず、大都市の繁華街で地道に生き残ることができれば御の字だと思う。がんばってください。
posted by kaoruww at 21:53| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年10月21日

コロワイドがレックス・ホールディングスをDESにより子会社化

12年9月7日、牛角を展開するレックス・ホールディングスの株式66.6%をコロワイドが保有し、10月1日付けでレックスを子会社化するという発表があった。これまでの大株主アドバンテッジパートナーズから株を買収するという方法ではなく、デット・エクイティ・スワップによるものという。外食企業の合従連衡は珍しくないが、DESを使うのはちょっと珍しい。変わったことをするなと思ったが、2番目の社長インタビュー記事の最後の部分を読んで納得した。

ネットの記事はしばらくすると消えることが多い。あとで検索する時用に、遅ればせながら記録しておく。コメントは少しだけ。

<その1>
「甘太郎」が「牛角」買収へ コロワイド、外食界4位に(朝日 9月7日)
 居酒屋チェーン「甘太郎」などを展開する外食大手のコロワイド(本社・横浜市、東証1部上場)は7日、焼き肉チェーン「牛角」などを運営するレックス・ホールディングスを子会社にすると発表した。コロワイドがレックスの株式66.6%を10月1日付で取得する。
 レックスが抱える借金のうち137億円分の債権を、コロワイドが金融機関から買い取り、レックス株に換える形で取得する。買収でコロワイドの売り上げ規模は約1600億円になり、外食業では「すき家」のゼンショーホールディングス、日本マクドナルドホールディングス、すかいらーくグループに次ぐ存在になる予定。
 レックスは1990年代後半に始めた焼き肉チェーンの成功をばねに事業分野を広げたが、業績が悪化。創業者の西山知義氏らが2007年に自社株買収(MBO)を実施して上場を廃止してからは、09年にコンビニエンスストア「エーエム・ピーエム」、11年にスーパー「成城石井」を売却するなどし、再建を進めてきた。
 コロワイドの資本参加で、11年12月期に141億円あったレックスの債務超過は解消の予定。西山氏が今後も「牛角」などの経営を担うかは「協議中」(レックス)という。
 コロワイドは積極的な企業買収で規模を広げ、「甘太郎」や回転ずし「にぎりの徳兵衛」など計925店を展開する。レックスの「牛角」や居酒屋「土間土間」など、全国の1228店を手に入れれば、食材の調達力がさらに上がり、競争力も強まると判断した。

<その2>
「牛角」買収のコロワイド社長に真意を直撃――「外食の“ユニクロ”を目指す」(東洋経済オンライン 9月18日)

居酒屋「甘太郎」「北海道」、レストラン「ステーキ宮」などを展開するコロワイドは、焼き肉チェーン「牛角」を展開するレックス・ホールディングスの株式66.6%を取得し、10月1日付で子会社化すると発表した。レックスの経営権は投資ファンドのアドバンテッジパートナーズからコロワイドに移る。

 居酒屋を主軸とするコロワイドが焼き肉チェーンを買収する理由は何か。コロワイドの野尻公平社長が東洋経済のインタビューに答えた。

――レックスを買収した目的は何か。

 今まで、外食産業は店舗を造って、その売り上げから利益を得るという構造だった。しかし市場の縮小傾向は続いており、店舗の売上高を伸ばすことは難しい。売上高が落ちても成長するためには川上へ進まなければならない。アパレル「ユニクロ」のように製造小売業は外食でも1つの勝ちパターンになっている。

 そのためにコロワイドはバンノウ水産といったマグロ卸会社を買収したり、昨年11月に神奈川県・横須賀で食材調理・加工工場を竣工したりするなど、マーチャンダイジング(MD=食材の仕入れ、物流、加工、調理、商品開発といった一連の流れ)の機能を向上させてきた。

 MD機能を発揮するためには、こうした工場への設備投資以外にも、最低1000億円の売上高か、1000店舗の規模が必要だ。レックスの買収により直営・FC合わせて1200店の販売先が加わり、レックスとコロワイドの合計で2150店規模になる。レックス傘下の物流会社コスト・イズには食材加工・調理工場はないが、コロワイドのMD機能を持ち込むことで今2013年3月期から20億〜30億円のシナジーが見込める。こうした販売先の確保とMD機能の強化とが、資本参加をした最大の理由だ。

 もう1つの理由は業態の魅力だ。コロワイドとレックスの有力なブランドを不振店対策として相互に活用する。コロワイドは今まで多業態戦略でやってきた。といっても現在の42業態は多すぎるので中期的には10業態に集約していく。

 レックスは、日本最大の焼き肉チェーン「牛角」という強力なブランドを持つ。昨年、焼き肉業界はユッケ食中毒や放射能など風評被害の影響を受け、赤字に転落した企業も多い。その中でレックスの外食事業は25.9億円の営業利益(11年12月期)を確保した。これこそがブランド力の強さの表れだ。レックスは「牛角」のほかにも、「土間土間」「温野菜」「かまどか」という4ブランドを展開している。特に「土間土間」は居酒屋のブランドイメージ調査でいつも女性からの高い支持を得ており、魅力的な業態だ。

――レックスは11年12月期決算で141億円の債務超過。売上高も06年12月期の1618億円から、11年12月期は半分以下の746億円まで縮小している。

 レックスを連結で見ると巨額の債務超過だが、外食事業はしっかり利益を稼いでいる。事業会社のレインズインターナショナルや物流のコスト・イズは利益率が高いピカピカの会社だ。簡単に言うと財務内容を改善すればレックスグループは優良企業になれる。

 レックスの問題点は財務内容が落ち込んでいただけ。理由もはっきりしていて、外食事業の不振から来ているのではない。MBO(経営陣による買収)により毎期20億円ののれんを計上したことに加え、メザニンローン(融資と出資の中間の方法を採る融資方法)が残っており、多額の金利負担もあった。こうしたMBOの弊害に加え、コンビニ「am/pm」の売却損も財務上の重しとなっていた。

 「am/pm」以外にもスーパー「成城石井」を抱え、こうした外食以外の事業を整理しないと資本政策はできなかった。09年にコンビニ、11年にスーパーを売却し、最後に残った外食産業を自主独立で行くのか、新たな親会社を探すのかということになった。

――今回の買収のスキームは?

 ファンドが持ち株を売っていないため買収ではない。コロワイドがレックスに資本参加して、子会社化する。今回の話は今年2月末から動き出した。特にレックスには株主や外資系の債権者などさまざまなステークホルダーがいて、状況は複雑だった。

 投じる総額は137億円という理解でよい。金融機関からレックス向けの貸付債権をディスカウント価格(137億円)で取得する。いくらの債権を買ったかは、金融機関のプライドもあるので言えない。債権をディスカウント価格で買ってきて、デット・エクイティ・スワップ(DES)をする。債権免除益で債務超過をバーンと解消、資本を現物出資で入れるので百数十億円の純資産ができる。

 レックスはDESや債務免除益のおかげで、子会社化後のバランスシートは純資産「約150億円」、有利子負債「約180億円」という優良会社になる。メザニンローンである残り180億円の有利子負債も、投資銀行から商業銀行にリフィナンスすることで、大幅に金利を圧縮できる。こうした財務改善を進めることで、前期まで年間70億円以上あった金利負担を、来期以降は、同5億円程度に縮小する。

 開示情報を見ればわかるように、レックスは逆風下の11年12月期、外食事業の営業利益が25.9億円。そこから金利を5億円払っても十分、利益は出る。さらにMD機能を共通化することで20億〜30億円のシナジーも見込める。EBITDA(利払い前・償却前の税引前利益)で見れば、外食事業は53億円(11年12月期)と十分に利益は出ている。

 既存のアドバンテッジや、西山知義・レインズインターナショナル会長(レックス創業者)の持ち分は、彼らが決めることだ。売却の意向があれば相談に乗る。それよりもまずはコロワイドとレックスが組んで企業価値を上げることが大事だ。そうでなければ当社のような事業会社に話を持ってこず、ファンドからファンドへ売られるだけだろう。コロワイドがいちばん、レックスにとってリアルな提案を行えたということだ。

――西山会長の今後はどうなる。

 個人のことなので、われわれがとやかく言うことではない。西山氏とは債権譲渡の契約が決まるまで、どうやったら両者でシナジーを出せるのか、ずっと一緒に議論してきた。今後については西山氏には本人の考えがあるだろう。10月1日の子会社化までの残された時間で話をする。われわれは彼が言うことを理解するつもりでいる

――コロワイドは直営店主義、レインズはFC文化中心で社風が違う。うまくやっていけるのか。

 何も自動車メーカーや製鉄所を買うわけではない。同じ外食企業だ。お互いにおいしいものを出そう、お客様に喜んでいただこう、としか考えていない。すぐなじむだろう。

 確かにコロワイドにはFC展開のノウハウはないが、自社にないノウハウを取り込むのは当たり前の戦略だ。社風の克服はわれわれがいちばん得意としている。コロワイド会長の蔵人金男は一体感を作る天才。今まで12社を買収してきて、ここまで来た。それがあるから、絶対的な自信を持って買収に取り組むことができる。この“一体感を作る”ということは私にはとてもまねできない。

――今後の見通しは。

 まずシナジーを出すことを最初にやる。既存店の不振は外的要因以外にも店舗の老朽化が進んでいることもあるから、手を入れていかなければしょうがない。われわれが資金を出して積極的に既存店をリニューアルする。

 外食産業としてお客様に喜んでもらいたいという理念がある。顧客満足はわれわれの成長につながる。もう二度とレックスは外食以外のことはやらない。稼いだキャッシュフローは店舗に再投資していく。お互い成長拡大できるように力を合わせてやっていく。これはレックスもコロワイドも、直営店、FCも変わりない。

────────────────────
のじり・こうへい
 1962年生まれ。国学院大学中退。88年岡三証券入社。93年コロワイドに入社。
取締役(97年)、代表取締役専務(2009年)を経て、12年4月から現職。

経歴によると26歳で岡三証券入社、5年後の31歳でコロワイド入社、35歳で取締役ということになる。金融業界出身という立場で、これまで多くの買収案件に関わってきたのだろう。

<その3>
「牛角」創業者・西山氏が経営から退く(朝日 10月1日)
 焼き肉チェーン「牛角」を創業した西山知義氏(46)が1日、同店などを運営するレインズインターナショナルの社長職と、親会社レックス・ホールディングスの会長職を辞任し、経営から退いた。レックスが1日付で、居酒屋チェーン「甘太郎」を展開するコロワイドの子会社になったのを機に、経営陣を刷新するため。今後は「顧問」として店舗指導に携わる方針だという。後任のレインズ社長には、同社の居酒屋チェーン「土間土間」の開業に携わった松宮秀丈専務(46)が昇格した。

 西山氏は1996年、牛角の前身の焼き肉屋を創業し、起業家として注目された。その後業績が悪化し、上場廃止などで再建を進めたが、レックスは約140億円の債務超過に陥っていた。

少数株主の立場で何ができるでもない。顧問という体でお飾りにし、そのうち売却を申し出てくるのを急かさずに待つという熟柿戦術なのだろう。
インタビューでも危惧されているが、直営主義で925店舗のチェーンにフランチャイズ主体の1228店が加わるのだから、コロワイドにとって創業以来の大変化ということになる。居酒屋業界縮小という流れの中で、さらなる規模拡大によりスケールメリットを追求する戦略が功を奏すか。
posted by kaoruww at 19:02| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月25日

尖閣諸島を取り巻いた漁船の黒幕・旺旺(ワンワン)集団と岩塚製菓について

<尖閣>台湾漁船58隻が出港 主権・漁業権を主張(毎日)
 【蘇澳(台湾宜蘭県)大谷麻由美】台湾北東部・宜蘭(ぎらん)県蘇澳鎮(そおうちん)の南方澳(なんぽうおう)港から24日午後3時(日本時間同4時)、漁船58隻が沖縄県・尖閣諸島(台湾名・釣魚台)に向けて出港した。台湾の領有権を主張すると共に漁業権の保証を目的としている。他の港から出る漁船も参加予定で、最終的には約100隻となる可能性もある。

 漁船集団は25日午前5時(日本時間同6時)ごろ、尖閣諸島の領海への接続水域(約22〜44キロ)内の尖閣南西約37キロに集結し、尖閣周辺を回遊して抗議活動をする計画。漁民は「尖閣上陸もあり得る」と話している。

 漁船には「私の伝統的な漁場を侵略するな」「釣魚台を死ぬ気で守る」などと書かれた横断幕が掲げられ、次々に出港した。台湾の海岸巡防署(海上保安庁)は「漁民の安全のため」として巡視船など10隻以上を護衛につけるほか、海軍艦艇も約56キロ海域で監視する。

 今回の出港は、中国で事業展開する台湾の米菓子メーカー「旺旺集団」会長で、主要メディアを傘下に置く「旺旺中時集団」会長でもある蔡衍明(さいえんめい)氏が個人名義で500万台湾ドル(約1330万円)を寄付したことで実現した。

意外なところで旺旺(ワンワン)の名前を見た。08年3月28日に当ブログでこの食品メーカーについて触れている。

岩塚製菓様にご提案(qzmp blog)

内容を簡単に紹介すると、香港株式市場にこの台湾食品メーカーの旺旺が上場したことにより、旺旺の株式5%を保有する岩塚製菓に大きな含み益が生まれた。乗っ取られかねないから上場廃止にしたほうがいいのでは、というもの。

今回のニュースを機に旺旺の現状を見てみたら、ほんの4年前とは大きく状況が変わっていた。株価のチャートを見ると一目瞭然だ。
ワンワンチャート

株価は4年で4倍ほどになり、今日の時価総額は1兆2888億円。上場時点では、岩塚製菓が保有する旺旺の持ち株比率は全体の5%だった。リリース等を見ても現在の数字が出てこないが、増え続ける保有有価証券の額を見るかぎり、安定株主として大きな株数の変動はないとみられる。持ち株比率を5%のままとすると評価額は644億円。岩塚製菓の発行済株式数599万5千株で割ると、旺旺株の評価額だけで1株あたり10,742円になってしまう。ちなみに岩塚製菓の本日の終値は2900円だ。

倒産寸前だった旺旺に岩塚製菓が技術供与をしたことについて、旺旺の蔡衍明董事長は今でも感謝しているという。
 
天安門事件をキッカケに、中国共産党は怖くないと確信した――蔡衍明・旺旺集団董事長(東洋経済)
 岩塚製菓がなければ、今の旺旺はない。もともと私たちの宜蘭食品は魚の缶詰などを作っていたが、赤字で悲惨な状態だった。それが1983年に岩塚と提携して煎餅の生産を始めて以来、順調に利益を上げ続けている。旺旺の社名も83年から使い始めた。

 最初に岩塚を提携のお願いで訪ねたとき、私は24歳。岩塚の当時の社長(故・槇計作氏)は40歳年上だった。正式に提携を断られたとき、私は日本に駆けつけ、社長にあらためて直談判した。そのときは工場の中で話をしたが、社長は工場にある神棚に供えられたお酒を私に飲ませてくれた。そしてこう言った。「これは金儲けのお酒。あなたがそこまで言うなら提携しましょう。失敗したら、私は社長を辞めます」。
 
 その社長を、私たちは「旺旺の父」と呼んでいる。彼からは「あなたとなぜ提携したのか、自分でもよくわからない。まさに縁としかいいようがない」と言われたことがある。旺旺の経営理念「縁、自信、大団結」の縁は、彼の言葉から取ったものだ。

中国大陸進出後は破竹の勢いで成長し、中国に106の工場と34の販社、営業所329ヶ所を展開。売上高はグリコ、明治製菓、ロッテを凌駕し、中国最大の食品メーカーになった。さらに農業・外食・ホテル・不動産・医療・マスメディアなど多岐にわたる事業展開を行う、中国有数の企業グループになっている。

前述のとおり29年前から岩塚製菓と、昨年は丸紅と包括提携を結ぶなど日本との関係は深い。しかしそれはそれとして中国で事業をしている台湾人なのだから、中国を向いた考えを持つことは当然ないし必然ということだろう。だが漁船団に個人的に寄付をしてまで尖閣行きを支援するというのも妙な話だ。旺旺のグループ企業である中天電視(テレビ局)に中継させるため、つまり数字の取れる番組作りと、中国政府と中国人民受けするパフォーマンスの一石二鳥という見方もある(漁船に旺旺と中天電視の旗が見える)。

政治と距離を置く経営者もいれば、積極的に関わる経営者もいるということだろう。対立を煽る行動のスポンサーになるとは残念なことだが。ただし台湾全体で抗議活動が大きな運動になっているわけではなく、突如中国や韓国のような反日国家になったわけではないということは押さえておきたい。

なにもこの文章で床屋政談をしたいわけではない。大きな含み益を持ったまま4年連続営業赤字で、旺旺からの年間6億円を超える配当収入によってどうにか黒字になっている岩塚製菓は、上場企業としてとてもアンバランスだということだ。株式を発行して設備投資をするなどの上場メリットを活かす機会もない。旺旺株式という換金しやすい巨額の資産を格安で買収できる状態が放置されたままである。4年前のエントリと結論は全く変わらないので、そのままコピペして済ますことにする。
「一刻も早くメインバンクと相談し、MBOをして上場廃止にすることを勧める」


<10月3日追記>ジェトロのサイトに、旺旺の台湾メディア支配に抗議する言論人の動きに関するレポートがあった。日本のメディアではまだ伝えられていない、たいへん興味深い内容だ。マスメディアが学生を個人攻撃するなど尋常ではない。一読を薦める。

反「旺中グループ」運動が問いかけるもの(ジェトロ・海外研究員レポート)
posted by kaoruww at 22:42| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | おかき屋さん | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年09月12日

埼玉地盤の「ぎょうざの満洲」、餃子激戦区の大阪に本日開店


ぎょうざの満洲、関西へ進出 5〜10年後に50店(日経 12年8月28日)
3割うまい.gif 埼玉県を中心に中華料理チェーンを展開するぎょうざの満洲(埼玉県坂戸市、池野谷ひろみ社長)は関西に進出する。9月以降に大阪市へ2店を出し、今後5〜10年で関西圏で50店舗体制にする。埼玉県と東京都西部に集中して出店してきたが、店舗網の偏りが災害時などのリスクになると判断し出店地域を広げる。

 まず9月中旬にJR大阪環状線の野田駅前、11月下旬に京橋駅前と大阪市内に2店を開く。2店合計で客席数は110席、月間1500万円の売り上げを見込む。設備投資額は8000万円。

 今後は大阪市内や阪神間で年間4店程度の出店を進め、15年には関西に生産工場を建てることも視野に入れる。関西圏へは当面は坂戸工場(埼玉県坂戸市)から冷凍ギョーザを運ぶ。

 ぎょうざの満洲は東武東上線や西武新宿線、池袋線沿いを中心に64店舗を展開する。自社の保養施設である温泉旅館内の1店を除き埼玉と東京西部にあり、坂戸工場から半径40キロメートル圏内に出店している。一定地域内に集中出店して顧客をつかむドミナント戦略をとる。

 この地域での出店が一段落し、工場の生産能力が限界に近づくことから人口が多く需要が見込める関西への進出を決めた。食い倒れの街として知られる大阪でも「素材にこだわる当社の製品は受け入れられる。(外食の激戦区で)接客ノウハウを吸収できる利点もある」(池野谷社長)と考えた。

 同社のギョーザの特徴は皮の水分量を示す加水率が50%と高く、もちもちした食感。大手外食チェーンなどの採用実績もある。農家との直接取引で食材の調達費を減らすなどし価格を低く抑え、味も素朴な味に仕上げることでリピーターを増やしている。定番の焼きギョーザ12個、ご飯、スープ、漬物がセットの定食は500円だ。

 こうした戦略で過去10年間、ほぼ年1割の増収を続ける。13年6月期の売上高は前期比13%増の58億円の見通しだ。

そして本日9月12日、大阪進出一号店、ぎょうざの満洲JR野田駅店がオープンした。


大きな地図で見る 

本社がある埼玉では土地勘があるので、西武線沿線の生活道路に出店し家賃を抑えることが多い。しかし餃子激戦区で認知度を高める狙いもあるのか、関西一号店は中之島近くのJR駅構内。よくある盛り場を選択したようだ。

埼玉・坂戸工場から40km県内にドミナント出店しているが生産能力の限界が近づいている。新たなドミナントを形成するにあたり、災害時などのリスク分散のために関西進出を選んだということらしい。難しい道を選んだものだと思う。地方のリージョナルチェーンが首都圏に出てくると「こんなにお客がいるのか」と市場の肥沃さに驚くものだが、逆パターンはどうだろう。埼玉南部という日本でも珍しい人口増加地域をたまたまホームにしたからこそ、そこそこ伸びた実績があるだけに。

関西と関東では餃子の位置づけがちがうというのも大きい。関西ではサイドメニュー扱いでついでに注文するものだが、関東では焼売や春巻と同じような扱い。満洲のような低価格帯チェーンであっても王将などより高い。皮に特徴があり、そこそこ受け入れられるとは思うが、関東ほど順調に店舗網は構築できないのではないか。本社から離れた飛び地にドミナントを作るのは難易度が高い。

神奈川あたりに新たなドミナントの形成を試みれば成功する可能性は高いだろう。まして「15年にも工場を建てる」と本格進出宣言をして引っ込みつかなくする必要などなかった。数店舗立地パターンを変えてテスト出店し、いけるとなったら大きくブチあげればよかったのに。だがもう始めてしまったのだから仕方ない。満洲の冷凍餃子のヘビーユーザーとして、成功を祈るばかりである。
posted by kaoruww at 23:40| 東京 ☁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする