2012年04月23日

日本マクドナルド社長がコーヒーおかわり廃止に伴い「あれは一部のお客の特別な要求に対応していたサービス」との見解を発表

日本マクドナルドは4月20日、コーヒーのおかわりを廃止し、Sサイズ140円だった価格を100円に引き下げた。これに関し、日本マクドナルド社長が会見で意外な発言をした。

各種記事によるとコーヒーのおかわりは05年頃に全店舗で行われるようになった。Wikipediaには09年にマクドナルド広報がメディアの質問に答えているとある。

日本マクドナルド 5.7.3 コーヒーのおかわり自由(Wikipedia)
2009年(平成21年)5月時点において、一部店舗(スーパーやショッピングセンター内のテナントの一部等)を除き、店舗内で飲食する場合はホットコーヒーはおかわりが自由[63][97]。この情報は公式サイトには記載されていないが、同社広報が見解を示しており[63]、一部店舗の店内には掲示している場合もある。このサービスは2012年4月19日をもって終了した。
この注釈[63]のトレンドGyaOの記事というのは「マクドナルドはコーヒーお代わり自由 意外と知らないファストフード店の”暗黙のルール”」(09年5月7日)というもの。関係する部分を引用する。
――コーヒーのおかわりはできますか?
はい、マクドナルドでは全店でコーヒーがおかわり自由となっております。ファミレスのように「おかわりいかがですか?」とお声掛けはしておりませんが、スタッフにお声をお掛けいただければ。

――砂糖やミルクなどは何個まで貰ってよいのでしょうか?
基本的には、ご要望の個数をお出ししています。しかしコーヒー1杯で砂糖20個も30個もとなると…「常識の範囲内で」といったところでしょうか。

――店内に滞在する時間に制限はありますか? たとえばコーヒー1杯の注文で、何時間滞在して良いものなのでしょうか?
特に「何時間以上居てはいけない」といった決まりはありません。空いている時間帯でしたら、何時間滞在していただいても構いませんよ。ただしピーク時や、あと空いている場合でも寝てしまっているお客様には、スタッフからお声を掛けさせていただくこともあります。
このように広報が公式見解として発言していたのだが、今回の価格改定にともなう記者会見で日本マクドナルド社長原田泳幸氏は、「おかわり無料というサービスはなく、特定の店でほんの一部のお客の特別な要求に対応していたサービス」であるという見解を示したのだ。

マクドナルド、コーヒーを値下げへ - "おかわり無料終了"についても言及"(マイナビニュース)
日本マクドナルドは20日、「プレミアムローストコーヒー」(ホット・Sサイズ)をこれまでの140円から100円に価格変更し、発売した。これにより、「¥100マック」のメニューに加わることとなる。また同日、プレミアムローストコーヒーのホットMサイズも、これまでの190円から150円になる。

20日に同社本社で行われた記者発表会では、日本マクドナルド代表取締役会長兼社長兼CEOの原田泳幸氏が、「Twitterなどでコーヒーのおかわり無料が廃止という話もあるようですが、もともとおかわり無料というサービスはありませんでした。特定の店でほんの一部のお客様の特別な要求に対応していたサービスです」とネット上での騒動に言及し、「ですので、おかわり無料廃止と今回の価格改定とは一切関係はありません」とコメントした。
 おかわりできて140円か、なしで100円かは単にマーケティングの問題で、どちらが正解ということはない。滞店時間の長さや顧客満足度によって、日本マクドナルドが自由に方針を決めればよいことだ。にもかかわらず、原田氏はなぜ全店舗で行なってきた施策を、「特定の店で」「ほんの一部のお客の特別な要求に対応していたサービス」などと言うのだろうか。これではルールに従って利用していたお客をあたかもゴネる客・クレーマー扱いし、迷惑をかけられていたと言っているようなものではないか。

今回のことで思い出されるのが、08年12月に新商品のクォーターパウンダー発売時にサクラを1000人雇い行列をでっちあげたことが発覚した時のマクドナルドの対応だ。

「新商品を並んで買って食べるだけ」の短期アルバイトが登場、時給は1000円(Gigazine)
2ちゃんねるのまとめサイトの中に、MBS毎日放送で流れたニュースにおける原田氏のコメントが残っている。
23日に大阪に上陸したマクドナルドの新商品「クォーターパウンダー」。開店前からの長蛇の列の中にお金で雇われたいわゆる「サクラ」が含まれていたことが、JNNの取材で明らかになりました。

 巨大バーガー「クォーターパウンダー」。関西初上陸となった23日、大阪・ミナミの店の前には開店を待つ大勢の人。徹夜組も含めたおよそ2000人が、1キロにも渡る長蛇の列をつくりました。
 「販売開始いたしましたが、さきほど耳にしましたが2千数百人の方が並んでいらっしゃると。
 大成功だったなと思います
」(日本マクドナルド 原田泳幸CEO、午前11時半すぎ)

 しかし、この行列の中には、なんとお金で雇われた客、つまり「サクラ」が最大で1000人含まれていたことがJNNの取材でわかりました。人材派遣会社大手の「フルキャスト」が事前にアルバイトを雇い、並ばせていたのです。
 募集広告には「並んで買って食べるだけの仕事」と魅力的な言葉が躍り、時給1000円に加えて、ご丁寧に商品の購入代金まで用意するとあります。

 「ただ並ぶだけというよりは、商品のモニターの仕事だったんですよ。(Q.これは“サクラ”では ないのか?)モニターのお仕事ですので・・・」(フルキャスト広報)

 マクドナルドはこの翌日、初日の来店者数が1万5000人に上り、売り上げも1002万円と 最高記録を更新したと、ホームページなどで派手派手しく自慢しました。しかし、「サクラ」に買わせた数も含まれたこの数字は、純粋な売り上げと言えるのでしょうか。

 「景品表示法上は、売り上げ高が多いこと、あるいは来客数が多いことが誤解を招くような場合は、不当表示に該当するおそれがあると考えられます」(公正取引委員会 取引課長)

 自作自演との批判も上がっている今回の騒動を、日本マクドナルドはJNNの取材に対して、「モニターの募集は依頼したが、意図的に盛り上げようとしたわけではない」と話しています。(一部略)
 東京でもサクラを使って行列を作っていたことが発覚し、この4日後の読売新聞の記事には日本マクドナルドの見解が掲載されている。

マクドナルドの新商品発売、「サクラ」動員は東京でも(読売)
 日本マクドナルド(本社・東京都新宿区)が大阪市内の店舗で新商品を売り出した際、アルバイト1000人を動員し、「行き過ぎた演出」などと批判が出ていた問題で、東京都内での発売日にも、イベント会社が手配した「サクラ」に行列を作らせていたことが分かった。

 日本マクドナルドのコミュニケーション部によると、渋谷区で11月1日、新商品「クォーターパウンダー」を販売する臨時店舗を開設した際、「盛り上がりを演出するため」、イベント会社が手配したスタッフを開店前に並ばせ、商品を購入させるなどしたという。動員人数は公表できないとしている。

 客寄せのためのサクラとの批判について同部は「サクラの定義がないので何とも言えないが、消費者に誤解を与える手法は見直したい」としている。

謝罪するのかと思えばさにあらず、サクラを1000人雇って行列を作っておいて「サクラの定義がない」「誤解を与える手法」などと開き直るのだから恐れ入る。今回のコーヒーの件もそうだが、マクドナルドの公式見解は「頭を下げたら負け」と言わんばかりの対応をするという特徴がある。「ご了承ください」といった程度のことすら言わない。現場で働く人々に強いる「スマイル0円」との温度差がすごい。コーヒーおかわり廃止などという、単に経営上の選択で特に間違いとはいえないようなことにすら過剰に反応し、すぐにばれる嘘をつくのはいったいなぜなのだろうか?

原田氏はNCR→横川ヒューレット・パッカード→シュルンベルジェ→アップル→マクドナルドと外資系企業をわたり歩き、日本子会社の経営者にまでたどり着いた。なのに自分の施策の間違いを認めることはすなわち「現地管理者失格」の烙印を本社から捺されてしまうという危惧があるのかもしれない。いや、それは無根拠な強迫観念ではなく、実際に評価が下がるのだろう。長年かけて築き上げた"植民地における管理者"の地位を守るためには、米本社の経営ボードに対して「無理を言うワガママなお客をどうにか処理していた」という体裁を取る必要があったのかもしれない。

日本マクドナルドの業績は堅調で、米本社からの原田氏への評価は非常に高いようだ。それはご本人の優れた能力によるものだが、同時にマクドナルドの忠実なお客が原田氏の望むような「数字」を作っているからだということもまた事実である。だからこそ、米本社の経営陣に向かっていい顔をするために日本のお客を貶めるような嘘をつかない言い訳を考えていただきたい。それは極めて優秀なマーケティング専門家の原田氏ならば、造作もないことではないだろうか。

posted by kaoruww at 01:55| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月16日

池波正太郎が語る万惣

池波正太郎のエッセイ集「むかしの味」に”ホットケーキとフルーツ”という短文が収録されている。

「母が好きで、私も子供のころから食べさせられた所為か、今でもホットケーキを食べる」と書き起こすこのエッセイで池波は、両親が離婚したため三ヶ月に一度ほどしか会えなくなった父親と、神田にある高級果物店のフルーツパーラーで、一緒にホットケーキを食べた思い出を語る。
映画を観てから父が私に「何が食べたい」と尋いた。そこで「ホットケーキ」というや、父が「そうか。それなら、ちょうどいい」と、電車通りを向う側へわたると、そこに〔万惣〕があった。
「この店はね、果物屋さんだが徒(ただ)の果物屋じゃない。東京でも指折りの店だ」と、父がいう。
「へえ。果物屋にホットケーキがあるの?」
「あるどこのさわぎじゃない。万惣のホットケーキは天下一品だ」
勤め場所から近いこともあって、父も、ときどき食べていたらしい。
たしかに〔万惣〕のホットケーキは、それまで口にした、どこのホットケーキともちがっていた。
小学校を卒業した池波は兜町の株式仲買店で働きはじめ、自由になる金ができるとともに一人で万惣に行くようになる。
店を出て須田町でバスを降り、先ず〔万惣〕へ入り、ホットケーキを食べ、腹ごしらえをしてから〔シネマ・パレス〕へ駆け込むというのが、一週間に一度、かならずきまっていた。
その他の日は、他の映画館へまわる。
夜更けに帰り、たっぷりと食べてから眠る。
当時、十三歳の私の給料は七円だったとおぼえている。
しかし、十六、七歳になり、生意気ざかりとなり、商売柄、母にも内密な金がふところへ入るようになると、ホットケーキを食べてよろこんでいるだけではおさまらなくなってくる。
そこで、しばらくは〔万惣〕へ足が遠退いてしまったのである。
壮年となった池波は、万惣が八階建てのビルになったと聞いて昭和57年2月に久しぶりに足を運ぶ。
実に落ちついた美しいパーラーとなったばかりでなく、店員のサーヴィスは、先ず東京屈指のものといってよい。ポットのままで出す紅茶は香り高く、ブランデーがそえられているし、コーヒーも旨い。むろんのことに、私はホットケーキを食べてみて、これまた、むかしのままの味わいが保たれていることに感心をした。持続の美徳が消滅しつつある現代日本では、奇蹟といってよい。
〔万惣〕は、ホットケーキにせよ、フルーツにせよ、その仕入れのルートと、品物のえらび方において、他の追従をゆるさぬところがある。
ホットケーキなどでも、この製法を盗むために入店してきて、ついに、
「まねができない」
と、いうことになるらしい。
生クリームをかけたり、苺や、餡をつけたりするホットケーキなら、いくらでもまねができよう。
しかし、材料へかたむける店主の情熱だけは、まねしきれないのだろう。
万惣は、さほどに個性をもった店なのである。
私は一度だけだが、万惣に行ったことがある。丁寧に焼かれたホットケーキと芳しいコーヒーは、あまり広くはない中二階のフルーツサロンでお茶の時間を楽しむ常連らしいお客たちとともに印象深い。
なんとなく、このごろは神田へ出ると万惣へ立ち寄る習慣がついてしまった。
万惣のフルーツパーラーで、ホットケーキやフルーツカクテルなどを口にしながら、わずかに、むかしの面影をとどめている須田町の交叉点の風景をながめるとき、私の脳裡に浮かびあがってくるのは、二十二年前に死去した父の顔や姿だ。
父は母と離婚してから、ついに再婚をしなかった。


この1846年(弘化3年)創業の老舗果物店・万惣が全店閉店を発表した。

各店舗休業のお知らせ(万惣商事株式会社・pdf)
各 店 舗 休 業 の お 知 ら せ

  弊 社 で は 、 昨 年 3 月 の 東 日 本 大 震 災 に よ り 、 本 店 ビ ル も 多 大 の 影 響 を 受 け て し ま い まし た 。

  昭 和 5 6 年 以 前 の 旧 耐 震 基 準 で 建 築 さ れ た 当 本 店 ビ ル は 「 中 央 通 り 」・「 靖 国 通 り 」 に面 し て い ま す が 、 昨 年 秋 に 制 定 さ れ た 東 京 都 の 耐 震 化 施 策 「 東 京 に お け る 緊 急 輸 送 道 路沿 道 建 築 物 の 耐 震 化 を 推 進 す る 条 例 」 に よ り 両 道 路 共 、 指 定 幹 線 道 路 と な り ま し た 。

  弊 社 と し て も そ の 対 策 を 迫 ら れ 、 専 門 家 の 耐 震 診 断 に よ る 耐 震 性 の 確 認 を 行 っ た 結 果は 建 物 の 耐 震 強 化 工 事 で は 不 十 分 で あ り 、 早 晩 、 建 物 自 体 の 取 り 壊 し は 避 け ら れ な い とい う 予 想 外 の も の と な り ま し た 。

  こ れ ま で 高 級 果 実 の 販 売 を 主 軸 と し た 堅 実 経 営 に 徹 し て ま い り ま し た が 、 最 近 の 厳 しい 経 済 環 境 の 中 で 、 短 期 間 で ビ ル の 建 替 工 事 を 行 い 経 営 を 継 続 で き る ほ ど の 状 況 に は あり ま せ ん 。

  こ の た め 、や む を え ず 本 年 3 月 2 4 日( 土 曜 日 )を も ち ま し て 果 実 の 販 売・フ ル ー ツ パ ーラ ー の 営 業 を 全 店 で 休 止 す る こ と を 決 定 し た 次 第 で あ り ま す 。

  創 業 以 来 今 日 ま で 、 格 別 の ご 愛 顧 、 お 引 き 立 て を 賜 り な が ら 、 ご 不 便 ・ ご 迷 惑 を お かけ す る 事 態 に 至 り ま し た こ と は 、 ま こ と に 申 し 訳 あ り ま せ ん 。何 と ぞ 、 事 情 ご 賢 察 の 上 、 ご 寛 恕 賜 り ま す よ う 、 心 よ り お 願 い 申 し 上 げ ま す 。

な が い あ い だ 、 ま こ と に あ り が と う ご ざ い ま し た 。 こ こ に 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す 。

震災後の建築規制の変更により本店ビルの建て替えが必要となり、系列の店舗も含め店じまいを決めたとのこと。銀座松坂屋店は3月4日に、そして最後まで開いていた丸の内 新丸ビル店が、昨日4月15日に閉店。これにより万惣は166年の歴史に幕を下ろした。

あって当然に思い、なくなることなど考えもしなかった店が、思いもかけない出来事で消えてゆく。あの震災は私たちの気持ちのありように大きな影響を与えたが、東京の風景にも引き返せない変化を与えている。できるだけ故郷の風景を眼に焼き付けることを心がけようと思う。

むかしの味 (新潮文庫)むかしの味 (新潮文庫)
池波 正太郎

新潮社 1988-11
売り上げランキング : 34044

Amazonで詳しく見る
by G-Tools


posted by kaoruww at 05:45| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年04月09日

夜桜

001.JPG

013.JPG

011.JPG

007.JPG

ひと気のない大学構内にて

posted by kaoruww at 21:03| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月31日

tumblr開始のお知らせ

3月24日(土)にtumblrを始めてから一週間経って、ある程度掲載量も増えてきたので告知エントリを。tumblrってなによという向きにはこちらの記事を。

本当は超簡単!ゼロから始めるTumblrの使い方(nanapi)

2年ぐらい前にひと盛り上がりあった頃アカウントを作ってみたのだが、結局使わずに放置。パスワードどころかアカウント名すらわからなくなり再度取得した次第。またやろうとしたきっかけってなんだっけと一週間前を振り返ったのだが、すでに忘れている。たいしたきっかけはなかったのだろう。

再開して一週間で投稿数が200を超えたのは、簡単にリブログ(詳しくは上記のリンク先へ)できるchromeの拡張機能を入れたからだと思う。前回はこんなことすらしていなかった。tumblrは画像・テキスト・動画となんでもクリップできるし、当ブログ同様特にテーマを決めるわけでもないから、雑多なページになるのだろうと思っていた。ところが始めてみてびっくり、気の利いた文章などいっさいクリップしない。おもしろ画像を集めるでもない。リブログするのは食べものと飲みものの画像ばかりであった。自らupする画像は外食企業の期間限定メニューの告知画像とか。これには我ながら呆れた。あまりに興味が偏りすぎていて自分でも不安になるレベル。「食欲だけじゃないんだYO!」と言いたいために女性の画像をリブログしてみても、居酒屋はなこの従業員募集画像だったりする。大丈夫だろうか。

Twitterと同じく、フォローした相手がアップ(あるいはリブログ)したコンテンツが自分のページ(ダッシュボード)に流れてくる。だから誰をフォローするかがポイントになるわけだけど、どうにも方針が決まらない。Twitterみたいなリストが作れればいいのだが…


tumblrのアカウントがない人は自分のダッシュボードは作れないが、個別のページを見ることはできる。私のtumblrアカウントはこちら。http://kaoruww.tumblr.com/
わざわざ見に行かなくてもブログの更新チェックにRSSリーダーを使っているなら、リーダーに登録することで見ることもできる。http://kaoruww.tumblr.com/rss

図らずも、製作されたそばから消えていく期間限定メニュー画像を中心としたtumblrになってしまっているが、今後広がりが出てくるのだろうか。わからない。以上告知でした。
posted by kaoruww at 11:53| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月27日

ブラック企業が裸足で逃げ出すフォックスコンがシャープの筆頭株主に

シャープ、台湾の鴻海グループと資本業務提携 堺工場の株式も譲渡(ロイター) 
 [東京 27日 ロイター] シャープは27日、台湾の鴻海精密工業を中心としたグループ会社4社と資本・業務提携すると発表した。発行済み株式の10.94%に当たる新株を669億円で割り当てるとともに、大阪府堺市にある液晶パネル工場の株式46.48%を660億円で譲渡する。

 鴻海精密工業に4.5%、鴻海と資本関係のある鴻準精密工業とFOXCONN、Q─Run Holdingsにそれぞれ0.72%、2.8%、2.92%を割り当てる。鴻海精密単独の持ち株比率は4.06%と、日本生命に次ぐ、第2位の大株主になる。堺工場の株式は、鴻海の代表、郭台銘氏に譲渡する。シャープは割当先から取締役を受け入れる予定はないという。

 鴻海は堺工場で生産されたパネルの最大50%を引き取る。早ければ2012年度から引き取りを開始する。

 会見した奥田隆司次期社長は、鴻海が液晶パネルの半分を引き取るので堺工場の減損リスクはなくなると述べた。
 
ついに日本の総合電機企業が中国に買われる日がやってきた。フォックスコングループ全体で10%程の出資だが、今のシャープにこれだけの金を出す日本企業はなかろうし液晶パネルを半分引き取ってくれるお得意様になるわけだから、過半数を取らなくても首根っこを抑えられたも同然だ。遠くない将来三分の一の議決権を押さえて経営上の拒否権を持った段階で名実ともに子会社になるのだろう。 

レナウンが中国企業から4割の出資を受け傘下入りした時、エントリを書いた。
10年5月23日 レナウン、潰れる前に中国企業に買われる
別に日本企業が中国企業に買収されることで民族意識を刺激されるタイプでもないので「こんな昔の名前しか残ってない会社にカネ突っこんでご苦労さまです」ぐらいな感想しか出てこない。ホコリをかぶった洋服をヤフオクに出したら買っていく物好きがいただけのことだ。だがレナウンだダーバンだというと名前だけは知られているから、GDPが中国に抜かれて第三位に落ちることと相まって、妙な言説が出てくるのであろう。「こんなガラクタを買うとは目が利かねえなあ」と思っておれば十分なのに。 
(略)
心配なのは、儲からないわ、コングロマリット・ディスカウントで株価が安値に放置されてるわの総合電機を丸ごとパクっと食べられることだ。今のところは日本人技術者を一本釣りする方が低コストだからTOBをかけていないだけで、属人的な技術流出では手に入らない技術が必要になった時には、仕掛けてくるに違いない。安値で買い叩かれるのはつまらない話だ。かといって軍事技術でもなければ国が資本制限をするような話でもない。総合電機業界が統合をすすめて買いにくくするべきなのだが、これは10年以上前から言われているものの、まるで話が進まない。どこかの会社が実際にTOBをかけられるなり、レナウンやラオックスのように第三者割当で子会社化されるなりしなければ動かないのであろう。

発表では、フォックスコンは液晶パネルの堺工場の株式の約半分を660億円で買収している。シャープ本体への出資額が669億円であることを見れば、今回の出資目的が液晶パネルの安定調達にあることがわかる。「属人的な技術流出」によって基礎体力をつけた現在、必要なのは最新鋭設備になったということだろう。

フォックスコンといって真っ先に思い出されるのは労働問題だ。iPhoneの製造を受託しているため、世界的な注目を集めたことは記憶に新しい。

フォックスコン-労働問題(Wikipedia)
絶好調アップルを支える中国の搾取工場(ニューズウィーク日本版)

「夜中に従業員をたたき起こし、お茶とビスケット1枚の軽食を与えて、12時間ぶっ通しで働かせる」
中国と日本では労働法も違うし、シャープの社員が同じことをさせられたあげく自殺に追い込まれるわけでもなかろうが、こういう企業の強い影響下に入ることは事実である。

利益率のあまりの低さから長年にわたって集約化を求められてきた総合電機業界は、果たしてこれで危機感を覚え、統合に本気になるだろうか?本日伝えられたニュースはこちら。

日立が5年で総コストの5%を削減、海外調達拡大などで(ロイター)

5年で5パーて。この呑気なスピード感に水がぶっかけられて目が醒めたことを祈るばかりだ。
posted by kaoruww at 19:19| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年03月02日

林輝太郎氏逝去

2012年2月28日午後9時10分、林輝太郎氏が逝去されました。享年85歳。

投資家教育に情熱を燃やした方でした。また証券会社や商品取引業、その周りに集まるマスコミや投資顧問など、業界あげて個人投資家を食い物にする体制を強く批判し続けた正義漢でもありました。金の匂いを嗅ぎつけて業界に近づいてくる政治家も批判の例外にはしませんでした。
私はその著書から、相場に嵌り自らの欲に絡めとられ狂気に陥った者、幸せな家庭を破壊し自死した者、ごく稀に嘘ばかりの世界に生まれる厳しくも見返りを求めぬ善意を知りました。
心よりお悔やみ申し上げます。 

なお「お別れの会」は3月20日(火)、ホテルニューオータニで執り行われるとのこと。

林輝太郎お別れの会 ご案内(林投資研究所)
posted by kaoruww at 18:44| 東京 ☔| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年02月19日

サイゼリヤ、食品製造業への道程

サイゼリヤ会長の正垣泰彦氏が以前こんなことをインタビューで話していた。
「店をたくさん作るのはそのほうが儲かるからじゃない。食べ物を計画生産したいからだ。計画生産を可能にするためには安定した需要が必要。だから店を作るんだ」。さらに「計画生産ができるようになれば廃棄もなくなる。無駄がなければ価格は大幅に下げられる。計画生産ができるようになったらウチの店だけでなく、どんどん食材を外部に売っていきたい」と。

外食業というより食品製造業の経営者みたいな発言なので真意を疑う人もいるかもしれないが、サイゼリヤがこれまで着々と行なってきた自社生産の歩みを思うと、どうやら本気らしいことがわかる。自社専用農場で種から野菜を栽培し、オーストラリアに巨大な工場を建設して肉料理やソースを作り、自社仕様のワインをイタリアから直輸入してワイン消費量日本一になった。

だが、まだ外部への販売は行なっていない。ワインなどを関連会社で細々と通販するに留めている。ワインを店舗で販売せず「飲みきれなかったぶんだけ持ち帰ってOK」ということにしているのは免許の関係だろうか。店頭で売られているのはオリーブオイルとドレッシングだけだ。プロシュート(生ハム)なんか小分けにしてあるはずだからすぐにも売れるのになあ、いや、ウチでつまみにしたいから売ってほしいんだけど、と以前から思っていた。


昨日の外出先の昼下がり、生野菜を食べたくなってサイゼリヤに入った。外でしっかり生野菜を摂るのは意外と難しいのだが、そんな時コールドチェーンを厳密に運用するサイゼリヤがあると助かる。サラダとポテト、うっかり白ワイン250mlを注文して昼食とした。後から隣りに一人で座った20代の女性が、小エビのサラダとムール貝のガーリック焼き・赤ワイン500mlを頼んで本を読んでいて「ううむ、こういう使い方をする人が増えてるんだなあ」と勉強になったのだがそれはともかく、会計を済まそうとレジに行ったらオリーブオイルの隣にプロシュートの写真がある。あれ?テイクアウト始めたのか? 

レジの女の子に聞いてみると「店長呼んできます!」とすっ飛んでいってしまった。い、いや、ちょっと聞いてみただけなんだけど……やって来た店長が言うには、店で出しているプチフォッカ(小さいパン)2個は焼きたてをお出しするので4分ほど席でお待ちくださいとのこと。何の気なしに聞いてみただけだったのだが完全に買う流れになっている。2枚で399円だというしまあいいかと元いた席に戻ってしばし待つと、店長が袋に入れたプロシュート・プチフォッカ2個・プラスチックのフォークとお手拭き各2つを持ってきてくれた。あれ、1人前なのにフォーク2つなの、と思いつつ自宅に帰って撮った写真がこちら。

プロシュート

えーっと、これ夜に飲む時のつまみにする時撮影したのですが、帰宅直後にまだ温かいプチフォッカをひとつ食べてしまいましたのでこのようになっております。パックに入ったプロシュートは透明な2枚のシートにぴったり挟まれて空気に触れないようになっている。一枚はがして皿にぺたっと伏せ、慎重にもう一枚のシートをはがせばOK。適当な野菜と一緒に。

004.JPG

熟成した肉の風味が実にいい。サイゼリヤのプロシュートを値段が安いからと侮るのは間違い。近ごろはコンビニでも生ハムを置いているが、ああいうのとは別物だ。食べてみれば誰でもわかるだろう。

というわけで、家飲み派念願のプロシュートのテイクアウトが実現したわけだが、やはりサイゼリヤ店舗だけでなく、プチフォッカなしでかまわないからスーパー・コンビニに卸してもらいたいところ。ワイン・オリーブオイル等も含め、大手流通業との提携が待たれる。
posted by kaoruww at 17:38| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする