一体なぜこんなバイトをやろうと思ったのか。
第一に怪しいバイトをやってみたいという好奇心。
それに、寝てて大金を稼げるならラッキーという気持ちもあったろう。
だがどこに応募すればいいのかわからない。
今みたいにネットで検索すればそれなりに手がかりが得られるという環境ではなかった。
紹介が必要だという噂も聞いたが、そんなバイトを紹介してくれるような都合のいい知り合いはいない。
やむを得ず電話したのがあるCRO(医薬品開発受託会社)である。
これは電話帳で調べた。
いきなり「治験のボランティアやりたいんですけど」と言われた方も驚いたようだ。
そこはデータをとりまとめて製薬会社に提出するような仕事をしているらしく、
「うちはそういう体を張る系の仕事はしてないんですけどねー」と言われた。
しかしその若い人は周りの人になにやら聞いてくれてある電話番号を教えてくれた。
「ここで紹介してくれますよ」と。
電話してみると妙にていねいな物腰のおじさんが名前や住所を聞いてきて、「仕事があったら連絡します」と言った。
数日後電話がかかってきた。
指定の日に池袋の某病院に行って説明と身体検査を受けるようにとのこと。
慣れない池袋の路地を曲がり、ようやくたどり着いたその場所は意外や結構大きな病院だった。
しかし私が行くべき所はそこではなく、隣の小ぶりな建物だった。どうやら研究所らしい。
小奇麗な建物に入り、会議室に案内される。そこで10人ほどの参加希望者と共に説明を受けた。
入院期間は2週間、飲み薬が体に入ってからどれぐらいのスピードで溶け、消えてゆくかというのを採血により確認する、というものだ。
薬を飲んでからは立て続けに15分おきに1度2時間採血。
その後30分おき、1時間おき、と間隔が開いていく。
1日に15回前後の採血があるらしい。
それを2週間のうちに2回やる。普段の体調もデータとして記録しないといけないので、2回の本番の為に2週間もかかる、ということらしい。
報酬は拘束1日当たり約2万円。
なにやら細かい字で書かれた誓約書のような物を書き、この仕事(というか人体実験)に参加する事が決まった。
開始の日がやって来た。
着替えを詰めた小さなかばんを手に、私は研究所の門をくぐった。
2004年09月14日
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「最初に登録料を払え」とか言わないところなら登録しても実害は無いのでは。
それらを含めて自己責任ということで。