1円パチンコと1050円散髪店(深町秋生の新人日記)
1円パチンコなんてものがあるのか。こっち方面はうといので全然知らなかった。でも考えてみれば日経miniみたいにサイズを10分の1にした庶民向けギャンブルだってできているのだから、パチンコだってこれまでの4分の1のものがあってもおかしくない。レートを客が選択できるのは考えてみれば当然の話だ。なるほどねー。郊外もいろいろ変化があって興味深い。深町氏の郊外話は、都市で電車を使っている人間には見えにくいものを知ることができて貴重だ。ぶくまコメントにもあったけど、ぜひ郊外ネタで本を書いていただきたい。
で、ここに出てきたパチンコ屋「ベガスベガス」(すげーネーミングセンスだ)のHPが、ひたすら下にダラダラスクロールするという、いかにも情報商材セールスHPと同じつくり。無駄にフラッシュを多用し、下品な色使いを繰り出すあたりが下流感をいや増している。まさに色彩の暴力よ!楳図先生バンザイ!!
でもこういう下流一直線みたいな話題の中にも好ましい話はあるのだ。
私は髪を切りにいくのがあまり好きではなく、子供の頃から「めんどくさいなー」と思っていた。学生の頃は学校の鏡の前で前髪を延々いじってる馬鹿を見ると「誰も見ねーよ」と嘲笑していた。今でもそういう気分はある。だからアメリカのSuperCutsと同じスタイルのQBハウスができたときはうれしかった。わざわざ新宿まで出かけて切りにいったものだ。時間が短いのが何よりうれしい。余計な口をきかないのも大変よい。
最近ではQBハウスだけでなくインディーズ1000円理髪店も続々できている。理容・美容師は典型的な供給過剰で、インターンと称して若い子をほとんどタダ働きさせているような業界だ。月に260時間も手を荒れさせながらハードに働いて、給料はほぼ基本給16万円(最低賃金)のみという美容師が、「これってどうなの?」と質問している。時給にすると615円なのだが、「手に職つけるんだからしょうがない」的な回答がけっこうあり、業界としての異常さを垣間見ることができる。現在雨後の筍のようにインディーズ1000円理髪店が開店しているのは、「労働環境としてこっちの方がなんぼかマシ」という働く人の判断があるからなのだろう。
先日髪を切りに行った時、担当してくれた若い女の子が好ましいルックスだったのでいろいろ話をしてみた。数行前に書いたことと話が違っているが気にしないでほしい。
「わたしが通ってた専門学校八王子だったんですよー」
「やっぱり坂の上にあるわけ?」
「朝学校行く時つらかったですー」
などとあたりさわりない話をしながら微妙に労働環境に切り込む。1000円理髪店でもやはり週に2日はなかなか休めないらしい。たださすがにはっきりとは言わないが、気が楽だといったニュアンスのことを話していた。おそらく客との関係も同僚との関係もシンプルなのだろう。理容・美容師というのは一応職人系の仕事ということになってはいるが、実際には感情労働(Wikipedia)そのものだ。刀鍛冶みたいに腕が良いからといってむっつりしているわけにはいかない。同じ安い給料なら人間関係のストレスが少ない方がいいというのはよくわかる。そのかわりややこしい注文を受けて腕前を見せる機会もなくなるわけだが、そこらへんは考え方次第ということだろう。
客単価が低いために1000円理髪店は下流っぽいイメージを帯びてしまっているが、実のところは「過剰サービスを嫌う客」と「過酷な待遇と感情労働に疲れ果てた理容師」の、幸せな出会いの場なのかもしれない。
2007年08月04日
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