2016年05月06日

一部上場企業にまではびこる水素水ビジネスに、理化学メーカーがまさかの参入

疑似科学・インチキと批判され、オカルト商法じみた怪しげなビジネスをする小規模業者しか手がけていなかった水素水を、東証一部上場の大企業・伊藤園が売りはじめて話題になった。

これが公式サイトだが、惹句の一つ一つがうさんくさいながらも薬事法的に尻尾をつかませないという内容。優秀な人材のリソースをこんな詐欺的商法に使っていること自体、十分犯罪的であろう。




当然ながらこんなインチキ商品を売りだすとは大企業にあるまじきことと批判されている。しかし若い女性を中心に「なんとなくカラダに良さそう」というイメージで人気があるようだ。

意識高い系の女優さんを例に挙げてしまい申し訳ない。


そして、やたら儲かっているので新規参入が絶えないという水素水業界に思わぬ企業が登場した。


HARIO? HARIOってあのコーヒーとか調理器具の?


実はこのHARIOという会社、一般にはキッチンまわりのメーカーとして知られるが、日本の科学・化学を支える縁の下の力持ちだ。ビーカー・フラスコ・ガラス管、はては小柴昌俊教授がノーベル物理学賞を受賞するきっかけになった実験施設・初代カミオカンデのガラス部分を製作したという技術力のあるメーカーなのである。

HARIO-理化学用・工業用ガラス
20インチ光電子増倍管開発ストーリー(浜松ホトニクス)
陽子崩壊実験ではタマを水中に長期間にわたって沈めるという点を考慮し、水に直接触れるガラスバルブにはハリオ32という耐水性に優れたガラス素材を採用した。ハリオ32はフラスコや電子レンジ用食器、コーヒーサイフォンなどに使われている耐熱性にも優れたガラスで、膨張係数が32と小さくて硬い。この種のガラスの光電子増倍管への採用は、これが初めてであった。

こんなちゃんとした会社がなぜエセ科学で儲けようとするのか。単なるポットをぼったくり価格で売ることが恥ずかしくないのか。これまで積み重ねてきた業績の自己否定だと思わないのか。これまで真面目に製品を作ってきた職人が気の毒だ。

「水素水などしょせんただの水だから飲んだところで害はない」と、擁護というより事態を矮小化する向きもある。でもそれでいいのだろうか。エセ科学がはびこるということは、思わぬ悲劇を自ら招くということだ。母親は我が子によかれと思ってあやしげなものを飲ませ、お年寄りは長寿を願って危険なものを食べる。そしてそれぞれが奇妙な健康法にハマり医者の言うことは無視する。人にも勧める。現代社会を未開の部族が闊歩するようなものだ。いいわけがない。

伊藤園のような大企業がモラルをかなぐり捨ててインチキな商売をするばかりでなく、科学に携わるメーカーまでもが参入する水素水。「立派な会社がやってるんだから」と信用する人を一方的に責めることはできない。科学者のみなさんに措かれては、エセ科学で金儲けする同業者?に公開質問状を出して企業理念を問い質してもいいし、ましてやそんな企業が理化学機器を作っていたら当然買わないという意思表示をして抗議すべきではないだろうか。エセ科学を広める者は科学者を侮辱していると考えるべきだろう。
posted by kaoruww at 22:07| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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