しかしあらゆる表現が常に思いもかけない展開を見せなければならないかというとそんなことはない。例えば音楽では、その作品世界に聴衆を没入させるには耳馴染みのあるフレーズを反復することが有効だ。「繰り返すこと」自体を理由に低い評価をされることはない。
反復による効果が顕著な曲といって思い浮かぶのが、ラベルのボレロ(Wikipedia)だ。異なった楽器が一つ一つ演奏され、それらの音色が時間の経過と共に重ねられる。最後は大編成による合奏となるが、約15分の演奏時間の間(最後の2小節を除いて)ずっと同じメロディが繰り返される。YouTubeの場合1本10分の制限があるから2つに分かれているのが残念だ。
Ravel - Bolero - Daniel Barenboim - Berliner Phil. Pt. 1
Ravel - Bolero - Daniel Barenboim - Berliner Phil. Pt. 2
キリスト教の賛美歌、仏教の声明(しょうみょう)、その他宗教音楽でも反復は多用されている。人を陶酔(トランス)状態に持っていくための効果的な技術ということだろう。この技術をダンスという「体を動かす快感」と結びつけ、特化・強調したものが広義のテクノミュージックと言ってもいいかもしれない。
電気グルーヴ - Flashback Disco
より大きな画面で見られるGoogle Videoにもリンクしておく。繰り返しやってくるフラッシュバックとテクノの反復をかけた作品。
電気グルーヴや石野卓球は凝ったPVが多く、好きな作品はいくつもあるのだが、特に反復が印象的なのがこれだ。
電気グルーヴ - Anna 〜letmein letmeout〜
音楽番組でこれが流れた時アシスタントの女が感想を求められ、「わたし夜道って怖いからキライです〜、このビデオもコワーイ」などと言っていた。バカか。一体どこに目をつけているんだ。このビデオのポイントはみつまJAPANだろ!(←それも違う)
こういったテクノと笑いを映像で表現させたら彼らの独壇場である。
この2つのPVが収録された作品集を紹介しようかどうか迷ったのだが、当blogの場合このタイトルだと紹介せざるをえない。
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