2012年03月27日

ブラック企業が裸足で逃げ出すフォックスコンがシャープの筆頭株主に

シャープ、台湾の鴻海グループと資本業務提携 堺工場の株式も譲渡(ロイター) 
 [東京 27日 ロイター] シャープは27日、台湾の鴻海精密工業を中心としたグループ会社4社と資本・業務提携すると発表した。発行済み株式の10.94%に当たる新株を669億円で割り当てるとともに、大阪府堺市にある液晶パネル工場の株式46.48%を660億円で譲渡する。

 鴻海精密工業に4.5%、鴻海と資本関係のある鴻準精密工業とFOXCONN、Q─Run Holdingsにそれぞれ0.72%、2.8%、2.92%を割り当てる。鴻海精密単独の持ち株比率は4.06%と、日本生命に次ぐ、第2位の大株主になる。堺工場の株式は、鴻海の代表、郭台銘氏に譲渡する。シャープは割当先から取締役を受け入れる予定はないという。

 鴻海は堺工場で生産されたパネルの最大50%を引き取る。早ければ2012年度から引き取りを開始する。

 会見した奥田隆司次期社長は、鴻海が液晶パネルの半分を引き取るので堺工場の減損リスクはなくなると述べた。
 
ついに日本の総合電機企業が中国に買われる日がやってきた。フォックスコングループ全体で10%程の出資だが、今のシャープにこれだけの金を出す日本企業はなかろうし液晶パネルを半分引き取ってくれるお得意様になるわけだから、過半数を取らなくても首根っこを抑えられたも同然だ。遠くない将来三分の一の議決権を押さえて経営上の拒否権を持った段階で名実ともに子会社になるのだろう。 

レナウンが中国企業から4割の出資を受け傘下入りした時、エントリを書いた。
10年5月23日 レナウン、潰れる前に中国企業に買われる
別に日本企業が中国企業に買収されることで民族意識を刺激されるタイプでもないので「こんな昔の名前しか残ってない会社にカネ突っこんでご苦労さまです」ぐらいな感想しか出てこない。ホコリをかぶった洋服をヤフオクに出したら買っていく物好きがいただけのことだ。だがレナウンだダーバンだというと名前だけは知られているから、GDPが中国に抜かれて第三位に落ちることと相まって、妙な言説が出てくるのであろう。「こんなガラクタを買うとは目が利かねえなあ」と思っておれば十分なのに。 
(略)
心配なのは、儲からないわ、コングロマリット・ディスカウントで株価が安値に放置されてるわの総合電機を丸ごとパクっと食べられることだ。今のところは日本人技術者を一本釣りする方が低コストだからTOBをかけていないだけで、属人的な技術流出では手に入らない技術が必要になった時には、仕掛けてくるに違いない。安値で買い叩かれるのはつまらない話だ。かといって軍事技術でもなければ国が資本制限をするような話でもない。総合電機業界が統合をすすめて買いにくくするべきなのだが、これは10年以上前から言われているものの、まるで話が進まない。どこかの会社が実際にTOBをかけられるなり、レナウンやラオックスのように第三者割当で子会社化されるなりしなければ動かないのであろう。

発表では、フォックスコンは液晶パネルの堺工場の株式の約半分を660億円で買収している。シャープ本体への出資額が669億円であることを見れば、今回の出資目的が液晶パネルの安定調達にあることがわかる。「属人的な技術流出」によって基礎体力をつけた現在、必要なのは最新鋭設備になったということだろう。

フォックスコンといって真っ先に思い出されるのは労働問題だ。iPhoneの製造を受託しているため、世界的な注目を集めたことは記憶に新しい。

フォックスコン-労働問題(Wikipedia)
絶好調アップルを支える中国の搾取工場(ニューズウィーク日本版)

「夜中に従業員をたたき起こし、お茶とビスケット1枚の軽食を与えて、12時間ぶっ通しで働かせる」
中国と日本では労働法も違うし、シャープの社員が同じことをさせられたあげく自殺に追い込まれるわけでもなかろうが、こういう企業の強い影響下に入ることは事実である。

利益率のあまりの低さから長年にわたって集約化を求められてきた総合電機業界は、果たしてこれで危機感を覚え、統合に本気になるだろうか?本日伝えられたニュースはこちら。

日立が5年で総コストの5%を削減、海外調達拡大などで(ロイター)

5年で5パーて。この呑気なスピード感に水がぶっかけられて目が醒めたことを祈るばかりだ。
posted by kaoruww at 19:19| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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