リビアのカダフィ大佐が死亡、拘束時に負傷=国民評議会当局者(朝日)
[シルト(リビア) 20日 ロイター] リビア暫定統治機構の国民評議会(NTC)当局者は20日、元最高指導者のカダフィ大佐が、拘束時に受けた負傷によりシルト近郊で死亡したと明らかにした。
NTCのAbdel Majid氏は、ロイターに対し「カダフィ支援部隊に対し激しい銃撃が加えられ、大佐は死亡した。カダフィ大佐は頭部も負傷していた」と述べた。
同氏はこれより先、大佐の身柄が拘束されたとし、大佐はNATOの戦闘機による攻撃から逃れようとした際、両脚を負傷したと話していた。
同氏の発言について、正式な確認は取れていない。
NTCの兵士によると、大佐は地下に潜伏していたところを押さえられ、捉えられた際、射殺しないよう求めたという。
NTCのMohamed Abdel氏はロイターに対し「大佐の遺体は、安全上の理由から極秘の場所に搬送中だ」と述べた。
この直前、アメリカのヒラリー・クリントン国務長官がリビアを訪問している。
クリントン長官がトリポリ電撃訪問 反カダフィ派議長と会談(産経)
【カイロ=大内清】米国のクリントン国務長官は18日、リビアの首都トリポリを電撃訪問し、反カダフィ派代表組織「国民評議会」トップのアブドルジャリル議長らと会談、今後の政権移行プロセスなどについて協議した。クリントン長官のトリポリ入りは8月下旬のカダフィ政権崩壊後初めてで、米国としてはこれまでで最もハイレベルな高官の訪問。
ロイター通信などによると、クリントン長官は地中海のマルタ経由で到着後、「評議会はリビア国民に対し、民主的な政権移行や法の支配の確立に真剣だと示す必要がある」と語った。
米国は、内戦中にリビア国内で大量の武器が出回ったことを懸念。特に、カダフィ政権が旧ソ連などから購入した携行式地対空ミサイルが国際テロ組織アルカーイダ系武装勢力などの手に渡ることを強く警戒しており、会談では兵器管理や武器回収の支援策なども協議されたとみられる。
一方、全土の制圧を進めている反カダフィ派部隊は17日、カダフィ派部隊が抵抗を続けていたトリポリ南方のバニワリードを制圧した。これにより、カダフィ派部隊が残存する都市は、カダフィ大佐の故郷である中部シルトのみとなった。
ヒラリーはすぐにリビアを離れ、すでに制圧済みのアフガニスタンに向かった。
クリントン米国務長官、アフガン電撃訪問 大統領と会談(CNN)
カブール(CNN) クリントン米国務長官は19日、前日のリビアに続きアフガニスタンを予告なしに訪問した。
米国務省によれば、クリントン長官は20日にアフガニスタンのカルザイ大統領と会談、米国のアフガニスタンに対する支援の姿勢を示す予定だ。会談では、アフガニスタンとパキスタンの関係についても話し合われると見られる。
アフガニスタンでは、駐留米軍が完全撤退する2014年末に向け、北大西洋条約機構(NATO)主導の国際治安支援部隊(ISAF)からアフガン側への治安権限移譲プロセスが進められている。
米国務省によれば、マーク・グロスマン特別代表(アフガニスタン・パキスタン担当)もこの地域を訪問中だ。
ここで記者からインタビューを受けている時、カダフィ拘束の報告を受けた。その時の模様がカメラに収められている。
ヒラリー長官「ワーオ!」カダフィ大佐死亡の報に(テレビ朝日)
カダフィ大佐の死亡を受け、オバマ大統領は、NATO=北大西洋条約機構による軍事作戦が功を奏したと強調しました。
8カ月前、NATOの空爆にアメリカが参加することを決断した時、野党から「新しい戦争を始めるのか」と厳しい非難を受けました。それだけに、カダフィ大佐の殺害はオバマ政権にとっても大きな成果といえます。
オバマ米大統領:「明らかにNATOの作戦が非常に効率的に遂行された」
今週、リビアを電撃訪問したクリントン国務長官は、訪問先のアフガニスタンで知らせを聞きました。
クリントン国務長官:「ワーオ!」
東京にあるリビア大使館には以前、カダフィ政権を象徴する旗やプレートがありましたが、現在はすべて取り外されています。
駐日リビア大使館・オウン臨時代理大使:「(カダフィ大佐拘束の一報は)私を含め、全リビア人が待ち望んだ喜びの瞬間でした」
在日本リビア大使はこのように話し、今後の日本からの協力に期待を示しました。
驚きというよりは確認という感じだ。
カダフィはパンナム機爆破事件のこともあり、アメリカが「国家の敵」と認定していた時期があった。その後宥和路線を取ることになったが、アメリカはどういう決着の仕方を望んでいたのだろうか。結果としてはパナマのノリエガのように裁判にかけるコースではなく、現地人によって殺害されるというルーマニアのチャウシェスクコースとなった。(余談だがノリエガが現在フランスの刑務所にいることを知って驚いている)
ヒラリーはアフガンの次にパキスタンを訪れている。パキスタンに拠点を置きアフガン情勢を混乱させているアルカイダをもっと厳しく取り締まれとねじを巻くのが目的だ。要は今回の中東歴訪は、訪問時点で形勢が決まっていたリビアが目的ではなく、アフガニスタンから米軍を撤退させるための根回しが主眼だったのだろう。単にリビアの独裁者の殺害過程を確認するだけなら、今年5月のアルカイダのトップであるウサマ・ビン・ラディン殺害の時同様、アメリカ兵のヘルメットにカメラを付けてホワイトハウスで生中継を観れば済むことだからだ。
Obama watched Bin Laden die on live video as shoot-out beamed to White House(dailymail)
ビンラディン殺害の一部始終をオバマ大統領が「衛星生中継」で見ていた(ニュー速VIPブログ)
こんなホワイトハウスの状況をよくカメラマンに撮らせているものだと思うが、こういう写真も公文書同様、後世に記録として残すのが政府の義務だという認識があるのかもしれない。
この一連の動きは次にシリア、最終目的地はイランということになる。アメリカが急いでいるのはイランが長距離ミサイルと核兵器を同時に持つ前に政権を転覆する必要があるからだが、核開発が成功するしないにかかわらず、イランに手をつけた段階でイスラエルが巻き込まれる可能性が高い。そうなるとほぼ自動的に第五次中東戦争になってしまう。きたるべき欧米の大不況は、数年後に砂漠に流れる大量の血を求めるのだろう。
<追記 11年12月12日>ノリエガ服役囚がパナマに22年ぶり帰国、フランスから移送(ロイター)
[パナマ市 12日 ロイター] 1980年代にパナマで軍事独裁政権を率いたノリエガ服役囚(77)が12日、収監されていたフランスから約22年ぶりに祖国へ帰国した。母国では、在任中の政敵殺害に関与した罪で禁錮20年の刑に服すことになる。
パリの刑務所を出発したノリエガ服役囚は、現地時間11日午前7時30分ごろ、民間機に搭乗。スペイン・マドリードを経由し、パナマ時間の11日夜に帰国した。同服役囚にはパナマの司法長官と医師が同行している。
ノリエガ服役囚は海外で服役中、パナマで複数の殺人罪で有罪判決を受け、禁錮20年の刑に処されることになるが、高齢のため自宅軟禁になる可能性もあるという。
ノリエガ服役囚は1989年に米軍によるパナマ侵攻後に逮捕され、米フロリダ州の刑務所で服役後、在任中に麻薬密売やマネーロンダリング(資金洗浄)を行った罪でパリの刑務所に収監されていた。