震災後、外食店が壊滅的に売上げを落としている。なかなか外食する気になれないのは仕方のないことかもしれないが、現場から伝えられる声はもはや悲鳴だ。上場企業など大手はまだ体力があるが、深刻なのは生業店といわれる個人でやっている店。売上げが2割か3割しかなくなった(2、3割減ではない!)ような店も少なくないという。生業店は売上金を仕入れに回しの繰り返しでどうにかやっているところがほとんどだから、1ヶ月もこんな売上げが続いたら廃業せざるをえなくなってしまう。
だから、というわけでもないのだが、吉祥寺にある個人経営のとんかつ屋に行ってきた。老夫婦が2人でやっている、カウンター数席にテーブルが2つという本当に小さな店。昼下がりに入ったところ、ランチの時間帯から外れていたこともあってか、他にお客はいず親父さんがカウンターで昼食をとっていた。食事を中断し、フレンチシェフがかぶるような高い帽子をかぶって仕事にとりかかる。小鉢は切り干し大根と温泉卵から選ぶことができ、とん汁はなみなみいっぱい。お母さんが慎重に運んでくれる。ロースカツ定食おいしゅうございました。(画像をクリックすると無駄に大きくなります)
ランチとディナーの間の時間に休みを入れず、通しで営業してくれるたいへん便利な店なのだが、15時過ぎに私が入店してから食べ終わるまで誰も入ってこなかった。なくなったら淋しい店やいい思い出がある店は、誰しも1つや2つあるはずだ。小さな店は地域の人が守らなければ意外と簡単になくなってしまう。美味しいものを食べると元気もでる。少し意識して、そんなお店に足を運んでみてはどうだろうか。