以前IKEAのことを書いた時ちょこっと触れたことがあったが、いろいろ家具業界を調べている過程で「今まさに圧倒的なガリバーが生まれつつある」という感を深くした。現時点でもトップなのだが、量が質に変化する段階になってきているようだ。もう開発輸入というやり方でここに追いつける同業者はいないだろう。IKEAのいいところを日本市場向けにカスタマイズしたようなビジネスモデルで、要は「組み立てと配送と接客をしてスウェーデン風味を抜いたIKEA」だ。
現在発売中の商業界の巻頭で「必見!IKEAの売場と商品」という特集をやっているのだが、IKEAの特集にもかかわらずニトリの強さばかりが目に付く。IKEAはこういう非上場の会社だから株買えないし。というかIKEAの財務戦略や資本政策については通り一遍の事しか書いてなかったなあ。商業界とThe Economistを比べるのはちょっと酷な気もするけど。でも無印良品の家具を自分で組み立てる人の割合が2割だけというのはいい情報だった。日本人は基本的におまかせだよねえ。
結局IKEAの家具を買っても配送と組み立てを頼むとかなりニトリの価格に接近する。それでもIKEAの方がまだ安いのだが、IKEAは接客が基本的に無いのでその差が現れている、といったところ。それは戦略の違いだから別に企業力が上か下かという話ではないのだが、日本市場においてはニトリのやり方が受け入れられやすいということなのだろう。
だからIKEAはせめて自分の強みを生かすためには船橋・横浜・神戸といった都市部ではなく、クルマを使わなければ店に来られない田舎に展開しなければいけない。百歩譲って1店目は東京の近くに出店し、マスコミに大々的に取り上げられ認知度を高めるという戦略はいいとしよう。マクドナルド1号店は銀座で、メディア戦略の成功例として知られているし。だが、2店目以降は東北のキツネやタヌキが出てくるような場所や九州のボタ山の隣りなどに出店しなければならないはずなのだ。
鉄道を活用することで先進国の中でもダントツでエネルギー効率の良い経済体制を作り上げたのが日本なわけで、この国で都市部への出店を優先するのはIKEAの武器を捨てるに等しい。ファッション性の高さを強調する方針なのかもしれないが。総武線にデカい段ボールを抱えて乗り込む気合いの入った人もいるにはいるようだが、商業界にも「小物はよく売れているようだが主役のはずの家具はどうか」といった疑問が書かれていた。開店直後だから物見遊山の人が多いとはいえ、クルマで来てお客が自分で組み立てることが前提の店なのだから、日本の都市部に出店すれば必然的にそうなる。だからといって配送に力を入れているわけでもないし、配送と組み立てを依頼すれば価格面での優位性も大きく低下する。2度目の撤退などというマヌケなことになる前に軌道修正できればいいのだが・・・
ニトリの話だった。客数・客単価ともに増えていて、ROAは8.86%、PERはYahooファイナンスの前期の連結でざっと計算したら
あと高級家具業界については、二極化の中で当然ある程度の規模のマーケットは形成するし、本当に高級な家具屋については安泰だろうけれど、中途半端に高額で過剰接客することで売上げを作っているような某O社(ゼロではなくオーです)なんかはこの先きびしいだろうなー、そういや吉祥寺店は三越と一緒に撤退しましたね、といったところですかな。



