2006年06月02日

薔薇の名前

<ダ・ヴィンチ・コード>映画に揺れる世界、各地の現象は!(毎日新聞)

なんか大変ヒットしているそうで、一応少し尻馬に乗ってみようかなどと考えたのだが知識がない。で、上記の記事を読んでみたのだが、これは映画に関する各地のリアクションである。イギリスがしらっとしててそこから出て行ったキリスト教原理主義国アメリカが大騒ぎで南米もカトリックが強く本場イスラエルはそんなことを論争していられるほど平和ではない、という納得の展開。
そして仏教国(ってくくりでいいのか)日本はどうなっとるかというと「単行本と文庫本合わせて1007万部を達成」して「文庫は毎回100万部ずつ増刷している」のだそうだ。ちなみに角川書店の株価はこんな感じ。わかりやすいなオイ。

日本の場合はどういうんだろうねえ。論争ではなくエンターテイメントとして楽しんでいるのは明らかだけども、こうなると完全に流行りものの領域で「話題に乗り遅れちゃいかん」て感じか。このエントリーだって似たようなものですねはっはっは。しかし文庫がスラムダンクみたいな調子で売れるというのも無茶な話である。

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アメリカで原作が論争の対象になった時、この作品を日本に紹介するにあたって「薔薇の名前」のエンターテイメント版だと誰かが書いていたのを覚えている。のちにあらすじを読み、共通点は「キリスト教世界を舞台にしたミステリー」ということだけだと知ったのだが。

で、ここで私は迷ったのである。このエントリーを書評カテゴリに入れるべきかどうかを。手元に上下巻二冊があるのだが、上巻は1990年1月25日発行の初版だ。発売されて即買って読み始めたのだ。なのに下巻は1990年4月25日発行の7版。上巻を読むのに苦しんだことが思い出される。今見たら当時税込み2000円だ。挫折したらもったいないから夜寝る前意地になって3ページぐらい読んでいた。下巻は謎解き部分の勢いでもっと早く読めたけれども。ミステリーの形式をとりながらウンベルト・エーコの歴史・記号論・その他なんやらかんやらいちいち書き出す気が失せる膨大な知がてんこ盛りの本だから、特に上巻は「ここ知識があれば面白いんだろうけどなあ」と1ページづつ思っていた。
それにしてもこの頃の私はこういうとても歯が立たなさそうな本にチャレンジし、わからないながらも完読するだけの気力体力があったのだなあ。若いって素晴らしい。

というわけで書評はあきらめた。私はもちろんイタリア文学専攻の学部レベルの人でも正確な批評をするのは無理だと思う。仮にその分野で博士号を持っていても、他の分野を知らなければ味わえない。だからこの本について「細かい事はともかく、ミステリーとして楽しめばいいのだ」という意見がよくあるのだが、それは決してオススメの読み方というわけではなく、そうするほかないからだ。でも、それではやはりこの本の魅力を理解することにはならないんだろうと私は思う。

この本はずっと手元に置き続けるだろう。読書経験が増えるにつれて発見も増えていく。二十年に一度ぐらい読み返すと面白いのではないか。それでも結局全てを理解することはなさそうだけれど。


へー、文庫を出してないんだな。確かにこれはよい装丁で持っておくべき本かもしれない。これもひとつの見識であろう。

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でまあ、この本をお薦めするだけの自信がないからというか、もともと映画の話だったからというか、ともかく「薔薇の名前」は映画化されているのでそちらをお薦めしたい。

世界3大かっこいいハゲの一人ショーン・コネリーが主演(ちなみにあとの二人はミシェル・フーコーと麿赤兒・私調べ)で、若い頃のクリスチャン・スレーターを従え中世の僧院で起こる連続殺人の謎に挑む。ホームズとワトソンの関係ですね。いろいろ解説してやりながら話を進めていくわけです。原作と違って記号だなんだというのは無し。世界観をきっちり構築した画面でミステリーと凄絶な悲恋が語られる。

しばらく見てないから借りに行こうかなー、と思ったら、なに!アマゾンで1350円で予約受付中だとコラー!とどうもアフィリエイトなどやり始めるとなんだか恥ずかしさが先に立ち文章が変になってくるわけですが。


正直こんなに安いんなら借りるより買おうかなあ、と思った。とか言う前にまずはDVDプレイヤーを買えというのに。いまだにビデオて。


あと、面白いblogがあったんでリンク(叡智の禁書図書館)。お、seesaaだ。左の「目次一覧 」にいろいろ興味深いエントリーがあるようだ。こんどちゃんと読んでみようっと。
posted by kaoruww at 00:51| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
こんばんわ!

薔薇の名前、懐かしいです。
これは映画を見てから原作を読みました。
それほど映画の出来がよく・・世界観に浸りたいと思ったのですね。
世界3大かっこいいハゲ・・妙に納得。
Posted by かぽぽ at 2006年06月02日 01:52
こんばんわー。

麿赤兒はマニアック過ぎて反省。
Posted by kaoru at 2006年06月02日 02:12
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