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銘柄選択で最も重視したのは、時期が時期だけに資金繰りが詰まって倒産するリスクが低い会社であることだ。金融システム不安が解消されていない段階では、健全な企業ですら黒字倒産する可能性がある。それはあまりにもバカバカしいので避けたかった。
そして「12ヶ月から18ヶ月使う予定のない金がある場合に限り」と釘を刺したのは、金融システムが安定するまでは一時的にもっと下がる可能性があることと、これだけ時間を置けばさすがに正常化するだろうとの考えによる。そして推奨した08年10月から18ヶ月後の、10年4月の最終日に、総括を行うことにした。まったく、私も律儀だ。
08年10月8日に銘柄コード3395のサンマルクホールディングスを2250円で推奨した。今日の終値は3615円。1365円のプラスなので、値上り率は60.66%。年間配当が78円だから、当時の株価で利回り計算をすると3.47%。税金・手数料・年換算利益率などを勘案した数字に興味のある人はお好みでどうぞ。

この日の日経平均終値は9157円だった。その後一瞬7000円を割れたりしつつ、きょうの終値は11057円。ちょうど1900円のプラスで、値上り率20.74%。市場平均をアウトパフォームできたかどうかは機関投資家ではないのでどうでもよろしいが、買った人は報われたといっていいかと思う。
当該エントリーに日産自動車とジャストシステムの名も挙げている。しかしこちらは推奨していない。サンマルクよりはるかにリスクが高いからだ。結果、日産は当時400円がらみが現在823円、潰れかけていたジャストシステムはキーエンスに救済され創業者の浮川夫妻退任という経緯を経て、104円が415円となっている。信用収縮時の危機を乗り越えれば、よりリスクの高い方が儲かるという妥当な結果となっている。あえてハイリスクな会社を分散して買い、半分は潰れても残った会社の株価が4倍になれば投資額は2倍になる、というやり方もある。私はやらないが、そういう戦略が好きな人もいるだろう。
最後に確認しておくが、今回総括したのは事前に明記した期限が来たからであって、「もう売るべき」と言いたいからではない。いつ売るかについての推奨はしない。私は売却目標を、株価ではなくPER15倍としたが、現在は12.82倍とまだ目標に達していない。目標まで配当を受け取りながら気長に持ち続けるもよし、市況の雲行きも怪しくなってきたことだしここらで売るもよし、そこらへんは好きにしてほしい。
「儲かっても礼はいらんが損しても文句は聞かない」と断っておこなった最初で最後の推奨であったが、プラスに終わってホッとしている。誰か真に受けた人はいるのかな。結局、パニックが起きている時に逆のことをすれば、多かれ少なかれ報われるということなのであろう。今後の皆さんの投資がうまくいくことを祈念しつつ、この稿を終える。