オーバカナルのグループ化により、ドトールが有楽町と霞が関で2店舗のみ展開しているイタリアンバール「バリッシモ」にも何らかの影響があるのだろう。バリッシモは07年10月に初出店したが、「ドトールコーヒーショップ・エクセルシオールカフェに続く第3の柱にする」と意気込んだわりには店が増えず、ドトールのHPに行っても店舗検索で出てこないという残念な状態にある。
ユニマットキャラバンは98年にカフェラミルを、03年にオーバカナルを買収したが、店舗営業による事業拡大をあきらめ、コーヒーの焙煎と卸売事業に特化する。オーバカナルはオライアン→ユニマット→ドトールと経営母体を変え、ようやく安住の地を得たわけだ。07年11月に買収したフレッシュネスバーガーは、既に09年9月に親会社のユニマットライフに譲渡している。
哀れなのはそのフレッシュネスバーガーで、06年に新光証券系投資会社に10億円の第三者割当増資をして44%の株を持たれ(時価総額22億7千万円)、その後ユニマットキャラバンが73%を取得。そして09年11月現在、ユニマット創業者の高橋洋二氏が41%、高橋氏の親族が経営する資産管理会社・マラルンガが31%、フレッシュネス創業者の栗原幹雄氏が15%所有している。マラルンガは31%の株を1億6千万円で買収しているので、時価総額は5億円強ということになる。平成21年3月期決算では売上高45億5400万円・純利益1億6500万・純資産5億2500万円なので、非上場会社だとこんなものだろうか。
たった4年で時価総額が4分の1以下になってしまったあげく、いまだにユニマットグループから手離してもらえない。無駄にイメージだけ良くすると経営者のアクセサリーになってしまうという典型的な例だ。ちなみにイタリア製オサレ家具屋・カッシーナも赤字を垂れ流しているがユニマットは手放さない。
外食の店舗展開をあきらめること自体は事業家として機を見るに敏ということだろうし、とりたてて悪いことではない。ただ高橋氏がどういう経営スタイルの持ち主なのかは、本業のサラ金(ユニマットレディス)を、法改正を見越してスパッとシティグループに売り払ったことからも読み取ることができただろう。もしそれができなかったというなら、もはや高橋氏の問題ではなく、読み取れずにユニマットの外食部門に入社した側の問題ということになる。
ともあれ、外食が本業のドトール・日レスホールディングスが買い取ったことは幸いだった。よいニュースである。