すき家 101.6%
松屋 96.7%
吉野家 77.8%
危機的状況だ。最安値で唯一売上げを伸ばしたすき家にしても、客数は115.9%と伸びたが客単価が87.7%で、売り上げ自体はほぼ横ばい。松屋も似たような状態で、吉野家の一人負けとはいえ他社が楽になっているわけでもない。限られたパイを奪い合ったあげくに市場自体が縮小している。デフレ経済の未来が牛丼屋に露骨な形で現れているわけだ。
吉野家の業績改善策については、年末に週刊現代で「あなたが「吉野家」社長なら、どう対抗する?!」とネタにされていたが、思いつきの価格政策でどうにかなるようなものではない。とにかく吉野家は野放図な買収戦略で図体が大きくなりすぎている。価格については他社と横並びにして出血を押さえる程度のことしかできないはずだが、今は牛丼を何杯売るといった話よりも、不採算事業を切り離すことが最優先だろう。
-----
そうはいっても過去の遺産のおかげでまだしばらくはなんとかなる吉野家に比べ、もはや待ったなしなのがペッパーランチを展開するペッパーフードサービスだ。お客を監禁レイプ・広告会社の営業マンに店長が暴行・食中毒の発生と、もはや存在自体が社会に害をなしていると言わざるをえない企業であるが、当然ながら業績は悪い。09年12月期の業績修正予想によると、5億6400万円の純損失(前回予想時は1億4300万円の純損失)を見込んでいる。
07年12月期 -3億8100万円
08年12月期 -4億7600万円
09年12月期 -5億6400万円 ←new!
08年12月期の段階で残された自己資本が6億2800万円だったわけで、ここから5億6400万円もの赤字を出したら、もう債務超過は目の前だ。無くなってもこんなに惜しまれない外食チェーンもめったにあるまい。
-----
ロッテリア、リヴァンプ提携解消(サンケイBiz)
ロッテがリヴァンプの出資分33%を買い戻し、お役御免に。ロッテ側は「ロッテリアが次のステップに進む足がかりができた」、「ファストフードとして目指すべき形が固まった」などと言うものの、提携の成果や提携解消の条件に関する具体的な数字の発表は一切無し。武士の情けでツッコんでくれるなというところか。ロッテとリヴァンプが組んで経営しているバーガーキングやクリスピー・クリーム・ドーナツがどうなるかは不明。どちらもいい話は聞かない。ウェンディーズも消えてしまったし、マクドナルドばかりが好調のハンバーガー業界である。
-----
「ドミノ・ピザ」、米投資会社が60億円で買収(日経)
米投資ファンドのベインキャピタルは25日、宅配ピザ店チェーン3位の「ドミノ・ピザ」を日本で運営するヒガ・インダストリーズ(東京・千代田、ヒガ・アーネスト・マツオ社長)を買収すると発表した。筆頭株主で44%出資するダスキンや、12%保有する創業者のヒガ社長らから全株を2月1日付で取得する。買収金額は60億円。ダスキンは他の事業との相乗効果がないと判断、保有株を売却する。というわけで、ミスタードーナツを展開するダスキンとの不思議な提携関係も成果なく終了。ここのところ、
ベインキャピタルは米国のドミノ・ピザの全株式を1998年に取得。経営陣を送り込み、2004年に同社をニューヨーク証券取引所に上場した実績がある。今回は保有株の受け皿を探していたヒガ社長がベインに買収を持ちかけたのがきっかけという。
ヒガ氏は2月1日付で社長を退任する予定で、その後はベイン側が社長を含めた新経営陣を派遣する。ベインはドミノ・ピザが店舗を展開していない中京地区などに出店していく計画で、同ファンドが現在約30%を保有する米ドミノ社との連携も検討する。
日本の宅配ピザの値段に驚愕した外国人たちのコメント(誤訳御免!!)
ピザMサイズは201円で作れる(デイリーポータルZ)
などピザについての話題を見かけるが、要は日本の宅配ピザ会社はアメリカのPEファンドが100%買収したくなるようなおいしいビジネスということだ。外食関係者には「昔に戻ってビジネスを立ち上げるられるなら宅配ピザチェーンをやる」という人がけっこういると聞いたことがある。うまい商売なのだ。このご時勢にテレビCMをバンバン打てる外食業態など他にない。うどん屋・お好み焼き屋とイメージは違うが、ここもコナもん屋であり、原価率の低さはめくるめく程である。「ピザ」という昔からあった商材を「宅配」と組み合わせることで新しい価格体系を受け入れさせ、広告によって洗脳状態を維持するという、マーケティング的に非常に面白いビジネスだ。
「中華そば」が「ラーメン」へ移行したことにより価格帯が大きく上昇したことは有名だが、宅配ピザも言及されることはほとんどないものの、売り方を変えることで大幅な値上げに成功した例である。デフレ経済下においても、大いに研究するに値するビジネスであろう。