2009年12月22日

ゼンショー、選択と集中と脱法

ここにきて「すき家」「ココス」等を展開するゼンショーの動きが急である。12月1日にアートコーヒーを3億円で買収、10日にウェンディーズとのフランチャイズ契約を終了することを書いたばかりだが、今日は子会社である「なか卯」と「大和フーヅ」を完全子会社化するというニュースがあった。

なか卯と大和フーヅを完全子会社化へ ゼンショー(産経)

どちらもすでに過半数を持ち子会社化していた会社だが、今回の株式交換により非上場となる。

なか卯はモスバーガー子会社→総合商社双日子会社→ゼンショー子会社と、なんだか親がコロコロ変わる不憫な子のようなチェーンだが、これで落ち着くのだろうか。なか卯株1株に対しゼンショー株を2株割り当てる。本日の終値は、なか卯1029円・ゼンショー645円。なか卯株は1290円に評価されたということで、プレミアムは25.3%。

大和フーヅは埼玉県を地盤に、うどん屋やミスタードーナツ・モスバーガーのフランチャイジーをしている。元々は三洋電機の孫会社だが、三洋の経営不振により本業と関係のない会社は切り離すことになりゼンショーに拾われたという、これまたかわいそうな境遇である。なぜ三洋電機が外食に手を出そうと思ったのかは不明。大和フーヅ1株に対しゼンショー株を1.52株割り当てる。本日の終値は大和フーヅ880円だが980円で評価されたことになり、プレミアムは11.3%。こちらはずいぶん低い評価だ。

なか卯と大和フーヅはどちらもJASDAQ上場銘柄であるが、今日の出来高は300株づつしかない。時価総額はなか卯48億円・大和フーヅ33億円と小型。店舗を積極的に拡大する局面でもなく資金調達需要もほとんどないわけだから、上場維持コストがなくなるだけでも悪くはないということか。また配当利回り3%弱のキャッシュアウトがゼロになるのも、外食市場縮小環境においてはそこそこ良い投資ということになるのかもしれない。店舗の拡大よりも、事業ポートフォリオの見直しによって確実に利益を出していこうということのようだ。

 
と、ここまで読んで褒めているように見えるかもしれない。確かにこの局面での行動としては筋の通ったものであることは認める。会社を高値で買い、子会社化した後も赤字を垂れ流し続ける吉野家とはえらい違いだ。だが、ゼンショーの従業員に対する姿勢はブラック企業のそれである。まともな労働慣行を守らずに競争をするのは、マラソンで一人だけ10キロ地点からスタートするようなものだ。従業員を苦しめることで他社に対して優位に立つことを認めることは、結果として市場そのものを歪ませ、そのツケを最終的に「荒廃した外食環境」という形で消費者が支払うことにつながる。労働法を守らせることは社会正義の観点から重要であることはもちろん、健全な競争環境を作ることによって結果的にお客が得をするということでもある。

ゼンショーが起こした労働関連のトラブルは、「雇用者ではなく委託契約」と主張し脱法・残業代の未払い・残業代未払いを告発した従業員を言いがかりとしか思えない理由で告訴、などなどあげていったらキリがない。今年のものを2つだけリンクしておく。

「すき家」のゼンショーに団交応じるよう命令 都労働委
(11月9日・朝日)
すき家ゼンショー、残業代不払いを告発した店員を逆に告訴 「飯5杯盗んだ」(痛いニュース)

2chのまとめにリンクしたのは、オーラルヒストリーとしての価値があると思うからだ。表題のニュース以外にも様々なトラブルが書かれている。

学生時代に「社会を良くしよう」などと説教を垂れていた、全共闘崩れの創業社長の精神的荒廃があらわになるような話ばかりだが、こういった確信犯的脱法企業に対して行政が取れる手立ては限られている。遠回りなようでも一番効くのは、ブラック企業には金を払わないことだ。法に則って仕事をしているまともな会社を利用し、ロクでもない会社は使わないことに尽きる。消費の場においては主権は消費者にあることを、改めて確認しようではないか。こんな主張をすると「自分ひとりでなにができる」とシニカルに振る舞うのがクールみたいな態度を取る人もいるが、現実に行政よりもひとりひとりのお客の力の方が強い。「そういう店でも、行かなければ結局困るのは働いている人たちだ」などと屁理屈を言う人もいる。馬鹿げた話だ。ブラック企業が淘汰されてまともな労働環境を提供する企業が増えることのなにが心配なのだろうか。

私がゼンショーとモンテローザの店を利用しないのはこういう理由だ。ダイエー時代を最後にウェンディーズに行く機会のないまま日本から撤退することになり、それは淋しいことだが、なに、海外に行った時にまた会う日も来るだろう。それまではしばしの別れである。
posted by kaoruww at 23:11| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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