・10月外食チェーンストア全体、客単価1.8%減・客数2.2%増で売上高0.4%増。客数のみ挙げると
餃子の王将など中華ファミレス客数6.5%増
マクドナルドなど洋風ファストフード同8.0%増
丸亀製麺など麺類ファストフード同19.9%増
居酒屋同6.5%減
ディナーレストラン同8.5%減
というわけで全体の売上高は横ばいだったものの、その内容は客単価の低い業態の伸びでカバーしているという状況。
洋食ファストフード各社の個別の10月前年同月比既存店売上高は
マクドナルド107.5%
KFC111.9%
モスバーガー105.4%
ファーストキッチン98.3%
と3社が前年を上回った。マクドナルドは今年1番の伸び率を記録、KFCも今年2番目の伸びとなった。ファーストキッチンは去年10月に行なったコーヒー回数券キャンペーンによる反動減の模様。FFについては全体的に好調といえる。
・キャンペーンにより事実上の値下げを行なってきた牛丼各社だが、ついに定価が下げられた。
松屋:最大60円値下げ 牛丼業界、価格競争激化(毎日)
牛丼チェーンの「松屋」を展開する松屋フーズは26日、「牛めし」などの主力メニューを12月3日から最大60円値下げすると発表した。円高で輸入牛肉などの原材料調達コストが低下したのを追い風に、客の低価格志向に対応する。他の大手チェーンも値下げなどのキャンペーンを実施しており、低価格競争が激しくなりそうだ。これは円が14年ぶりに1ドル85円を割ったのと同じ日の記事なので円高によるコスト低下を理由にしているが、実際のところは10月前年同月比既存店売上高は90.0%であり、トマトカレー効果が完全に消えたため、ついに牛丼の定価に手をつけたということだろう。
現行380円の「牛めし」並盛りを320円に、同480円の大盛りは420円に値下げする。競合チェーン「すき家」より並盛りで10円安くなる。「豚めし」並盛りは30円引き下げ290円にする。
今月上旬に期間限定で値下げした際は売上高が15%程度増えたため、値下げで客数の増加が見込めると判断した。松屋では、牛肉は米国、豪州、豚肉は米国、カナダ、メキシコから輸入しており、円高で調達コストは低下している。
ゼンショーの展開するすき家が12月7日まで牛丼並盛り299円、吉野家も今月16日まで「3杯食べると1杯無料」という期間限定キャンペーンをやっていたが、こうなるとこの2社も追随せざるをえない。なぜ松屋が先陣を切るかというと、売上げ構成に占める牛丼の割合が低いからだ。松屋の実態は定食屋である。牛丼以外にもいろいろ打つ手はあるのだ。だがすき家も吉野家も牛丼の占める割合が高い。吉野家はBSE騒動の後、リスク分散と称して松屋のような定食を導入したのだが、牛丼比率の低下は遅々として進まない。今回松屋は牛めし並を15.7%値下げしたが、同じ売上高に戻そうとすると注文数が18.6%伸びなければいけない計算になる。では2社が追随した場合注文数が2割近く増えるだろうか?業界横並びで価格競争を始めてしまったら、そこまで伸びないだろう。単品経営はこれがあるから怖いのだ。
このところの外食チェーンストア関連ニュースでは「デフレ」というキーワードと無縁なニュースがほとんどなかった。特に円レートが急激に上がり、株価はここ一週間で10%近く下がるなど、さらなるデフレを予感させるニュースが目白押しである。以前にも書いたことだが、この期に及んで円建てのリスク性資産を保有しているのは蛮勇を通り越しているのかもしれない。