ジム・ロジャーズ氏:大連商品取引所の成長戦略に「興奮」−顧問に(ブルームバーグ)
10月22日(ブルームバーグ):著名投資家のジム・ロジャーズ氏が中国の大連商品取引所の上級顧問に就任した。就任の理由について、同取引所の成長への取り組みに「興奮」していると語った。大連商品取引所というのは日本ではほとんど知られていないが、中国の商品取引所は実需の強さを背景に急激に取引量を伸ばしている。それを知ったのはまだほんの去年の春のことだ。日本の商品取引所がほとんど死んでいることにいらだちを感じていたところにこの記事を読んで、絶望的な気持ちになったのだが。
ロジャーズ氏は22日、大連からの電話インタビューで「中国は通貨や経済を開放すれば世界の商品取引の中心になると期待している。3カ所の取引所すべてに強い魅力を感じるが、大連の取り組みには興奮している」と述べた。
ロジャーズ氏は、上海先物取引所や鄭州商品取引所とも協議したことを明らかにし、中国に滞在するなら大連に住みたいと語った。同氏は投資会社ロジャーズ・ホールディングス(シンガポール)の会長を務める。
大連商品取引所は21日の電子メールで、ロジャーズ氏が「上級顧問」に就任したと発表した。同取引所は1−6月(上期)の出来高から見て中国最大の商品デリバティブ(金融派生商品)取引所。大豆や大豆油、パーム油、大豆ミールなどの取引を行っている。同取引所の劉興強社長は12日のインタビューで、出来高拡大を目指しエネルギーや原料炭、生牛の先物を導入する可能性を示唆した。
大連商品取引所、世界で第2位の農産物取引所に(日中経済通信・ウェブアーカイブ)
米先物業協会(FIA)が発表した最新データによると、中国大連商品取引所は世界で第2位の農産物取引所となった。大連だけではない。FIAが発表した09年上半期世界商品取引所ランキングでは、1位のNYMEXに続く2,3,4位が大連・上海・鄭州の3取引所なのである。日本で唯一それなりに機能している東京工業品取引所はギリギリ10位。アジアの商品取引の中心地はとっくに中国になっている。
統計によると、同取引所で取引される農産物は世界の農産物の先物・ワラント取引ランキングで、豆粕は先物取引高の第1位、トウモロコシは第2位、大豆は第4位をそれぞれ占めた。同取引所が占める世界農産物先物・ワラント取引総額に占めるシェアは29%に達した。
中国の先物市場は海外投資家に開放されていないが、農産物と金属の先物取引は世界市場に大きな影響を与え、大きなシェアを占めている。2007年、中国の先物市場は急成長し、取引高はは40兆元に達し、初めてGDP(国内総生産)を上回ったという。
ジム・ロジャーズという世界中の取引所の運営に精通したアドバイザーを得て、商品取引の中心の座をアメリカから奪う体制を整えたことになる。まだ管理通貨制度を採用していて外国の投資家が参加できない市場だからこの程度で済んでいるが、開放したら世界の中心的取引所になる可能性はかなり高い。中国政府が決める通貨制度に依存する話なので取引所の努力だけではどうにもならない部分はあるが、大きな方向としては遅かれ早かれ開放され、巨大取引所になっていくことだろう。
日本はハブ空港を外国に奪われ人がスルーしてしまい云々という話題が新聞紙面を賑わしているが、見えにくい部分では既に決定的な差をつけられてしまっていることは、あまりアナウンスされていない。