2009年09月26日

野村ホールディングス、またしても大型増資により株式希薄化へ

24日(木)の夜、野村證券を傘下に持つ野村ホールディングスは今年2回目となる大型増資を発表した。

野村が公募増資(産経)

一度目は3月に2800億円、そして今回は最大8億株を発行し、首尾よくいけば5113億円を調達することになる。ただ8億株を発行した場合、発行済み株式数は3割近く増える。明けて金曜日にストップ安をつけたのも当然だろう。日経平均大幅安の原因のひとつとなった。

しかし時価総額が1兆8000億円を超えていた大型株がストップ安をつけるというのは尋常ではない。やり方があまりにも悪質だったために株主が持ち株を放り出した面もあるだろう。なにしろ増資を発表した24日は、中間配当の権利落ち日だったのだ。会社四季報の予想によると、ほんの1〜2円ぽっちだそうだが、権利は権利である。株主が株を売りにくい日の取引終了後にいきなり発表、翌金曜日には売り殺到で値がつかずというわけで、株主が怒るのは当然だ。証券最大手がこんなマネをしていたら、証券業界全体が「株屋」などと蔑まれてしまうといった危機感は野村には無いようである。

今回の増資は「金融機関の国際的な規制強化に伴い自己資本比率を向上させるため」との説明がなされているが、それすら疑いの目で見る向きもある。なにしろ自らが資本を投入して行ったプリンシパル業務がことごとくうまくいっていない。

野村プリンシパル・ファイナンス 投資実績一覧

・先ごろ損切りする計画が流れた長崎ハウステンボス(現在6回まで続いているデータマックスのハウステンボスウォッチングに野村プリンシパルに関する興味深い記述あり)。
・当ブログでも何度か取り上げたすかいらーく(08年08月02日 すかいらーくのインチキMBOについて・08年08月15日 野村はなぜすかいらーくなどという筋の悪い会社を買収したか)

この二つが投資額からいっても大きく、しかも手ひどく失敗している。成功といえるような案件など、セブン&アイ・ホールディングス独裁者の拡大志向と「流通の王様であるデパート事業が欲しい」という虚栄心を利用して、ミレニアムリテイリング(西武・そごう)を売りつけたことぐらいではないか。


リーマンショック以降、アメリカの投資銀行がすべて商業銀行に転換したために、野村を「世界で唯一の投資銀行になった」と持ち上げる向きもあった。しかしリーマンブラザースのアジア・ヨーロッパ・中東部門を買収して1年経った今に至るも両社は融合する気配を見せず、結果を出せないでいる。なにより手金で行った投資が軒並み失敗している現状では、今回の大型増資も体力増強のためでなく「単に赤字の穴埋めに株主の金をつぎ込むだけではないか」という疑念を持たれてしまうのはやむをえないだろう。希薄化された株式の価値を高めるには増資で得た資本をフル回転させて有効に活用しなければいけないはずだが、これまでが前述のような体たらくで、なおかつこの経済状況で素晴らしい案件など見つけることができるのだろうか?けだし見ものといえる。もっともそれ以前に見ものなのは、月曜日に野村株に値がつくかどうかだけども。


<追記>結局週明け月曜日は、33円安(-5.76%)の540円で引けた。おめでとう!
posted by kaoruww at 23:05| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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