2009年08月21日

古色蒼然たるファミレスにも生きる道はあるのかもしれんねの巻

ついったーで知ったのだが、JR東日本が経営するホテルメッツ日本ホテル株式会社会社概要)の中に、デニーズが入っているとのこと。検索したかぎりでは、津田沼・駒込・浦和のホテルメッツに入っているようだ。

ホテルの飲料部門というのは、多くのホテルにとって常に悩みのタネだ。たいてい利益が出ない。よほど大規模かつ人件費を抑えたバイキング形式(品川プリンスのハプナとか)ならともかく、うまくいってトントン、悪くすれば赤字。なんとかまとめて売り上げを作りたいから婚礼に走る。しかし少子化で婚礼需要も先行き暗いということで、いまシティホテルがセールスに力を入れているのが葬式だったりする(通常「お別れの会」とかいう)。苦労が多い部門である。

シティホテルのメインダイニングはきまってフレンチだ。客単価は高くても、そうそう儲かる業態ではない。最近の会計本にも「餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?」なんてのがあるが、じっさい餃子屋のほうがフツーに儲かったりする。ではなぜやめないのか。日本のホテルはもともと宿泊施設というより、外国からの賓客を招く民間版鹿鳴館みたいなものから始まっている。世界的に正式な晩餐会はフレンチと決まっているから、やめたくてもやめられなかったのだ。しかし帝国ホテルがメインダイニングであったフレンチのフォンテンブローを閉店、その跡に鉄板焼きの嘉門を入れたことで流れが変わった。いまではメインダイニングがイタリアン(フォーシーズンズ椿山荘東京のイル・テアトロ)というホテルもあり、建前よりもお客のニーズに合わせなければやっていけない厳しい現状をあらわしている。

これを推しすすめると、儲からない飲料部門なんかなくしてしまえばいいじゃないかということになる。さすがに宴会の売り上げが欲しいシティホテルでは難しいようだが、宴会需要が見込めない宿泊主体のビジネスホテルの場合は、自社で運営せずにレストランを入れて家賃をもらうという方向にシフトしている。ホテルメッツは駅近というより、駅の施設の一部として旅行者の宿泊に特化したホテルチェーンだから、飲料部門に力を入れていない。もしやと思い個々のホテルのサイトを見てみたところ、ホテルメッツ国分寺には飲食施設自体がない。やたら割りきりがいい。

逆に外食の側からホテルの飲料部門に積極的に関わっていこうというケースもある。ロイヤルホストを展開するロイヤルが、大和ハウスのホテル子会社に出資しロイネットホテルの経営をしていた。現在は大和ハウスと切れ、リッチモンドホテルとなっている(アールエヌティホテルズ株式会社会社概要)。

ロイヤルはこればかりでなく、ホテルのすぐ近くに出店して勝手に近隣ホテルのコーヒーショップになってしまうのだ。西新宿にシティホテルが集中している場所があるが、この中心にある三井ビル内にロイヤルホストとシズラーを出店している。


大きな地図で見る

この地図でいうと、三井ビルのすぐ下にロイヤルホストの文字がある。1Fにロイホ、2Fにシズラーがある。緑色の建物がホテルだ。下に京王プラザホテル・左の住友三角ビルをはさんでハイアットリージェンシー東京・その上にヒルトン東京。そのすぐ右にはロイヤルホスト新宿店がある。こんな狭い場所に3店舗も集中させているわけだ。


デニーズはもともと旅行者向けのコーヒーショップという業態からはじまり、ロイヤルホストは高級レストランの廉価版としてはじまったという違いはあるが、今ではどちらもあまりパッとしないファミレスという印象が強い。ファミリー向けというターゲットや料理の専門性の低さなどが、時代とズレてしまったのだろう。しかしそのどちらも必要とされないシーンは今でもある。たとえば旅行者や一人客向けというターゲット、専門性より24時間営業やバラエティの豊富さといった利便性。ニッチも積み上げればビジネスになる。ファミレスはお先真っ暗みたいな話しか出てこないが、必要とされる場は意外とまだあるのかもしれない。


<関連エントリー>日本人なら日本茶を飲めというのはネット右翼の発想ですよ!(グダグダなので注意)
posted by kaoruww at 00:30| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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