デフレ対応業態の大本命。それはもちろん、デフレ経済の勝ち組ユニクロを展開するファーストリテイリングが本腰を入れはじめたジーユーに他ならない。
g.u.(公式)
GOVリテイリング(Wikipedia)
爆安「ジーユー」で買ってみた(日経)
この立川店にはゴールデンウィークの頃に一度見学にきているのだが、話題の990円ジーンズは売り切れていて一ヵ月半ほど経たないと再入荷しないとあるし、シャツの柄は何かの罰ゲームのようだしで、いくら安くてもこれはどうだろうとの印象を持った。ただ、男性向けボトムス、具体的にはチノパンはちょっと見た感じでは特に問題はなさそうだった。この時はそのまま女性向けコーナー・靴売り場をぐるっと見ただけで帰ったのだが、今回は何か買ってみようというわけである。ついに私もジユラーかと思うと少々感慨深いが、これはデフレ経済にもっとも適応した最先端ブランドなんだと自らに言い聞かせ、物色することにした。
インナーのシャツは490円でこれなら使えそうだが、人から見えるシャツは使えるものがちょっと出てきたかな、ぐらいで、やはりあまり感心しない。チノパンはドライツータックパンツが特価で1490円。ジーユーでは裾上げ代が300円かかるので、1790円。今そのバングラディシュ製のチノパンを穿きながら書いているのだが、ぜんぜん悪くない。日常利用には十分、というか、チノパンなど日常以外には使わないからこれで特に問題ない。ユニクロの最上位チノであるヴィンテージバージョンが3990円だが、どちらを選ぶかは完全に好みというか、こだわるのならヴィンテージだし、普通でえーわと思えばジーユーだしということになろう。柳井氏の言う「ユニクロは最高品質、ジーユーはそこそこの品質」というのは、ボトムスに関してはそのとおり実現されているという印象を持った。シャツのレベルアップが強く望まれる。
レシートの下部には1ヵ月有効のウェルカムクーポンというのが印刷されていて、「次回お買い上げ時より3000円以上のお買い上げで10%引きいたします」とある。まだ安くするのか。
そういうわけで、東京に関してはジーユーが辺鄙な場所ばかりにあるのは当然なのだろう。下手に大量出店してしまったら、ユニクロとカニバリを起こしかねない。安さを求めてユニクロに行く人に関しては、このクオリティがあればそのままジーユーに移動する可能性がある。しかしファーストリテイリングの狙いとしては、まさにその「安さのみを求める層」を今後ユニクロから引き剥がし、ジーユーに囲い込もうということではないか。ロウワーブランドを生み出すことで、相対的にユニクロのブランドイメージを高め、さらにはジル・サンダーでダメ押しすると。ジーユーを大量出店し始めたら、そういう計画だということが状況証拠により証明されるということだ。
いずれにせよ一度デフレに陥ると、すぐに元には戻らない。数年、場合によっては数十年デフレは続くことがある。自社のリソースを有効活用して、拡大するプライスコンシャスな人々(←婉曲表現)をグリップしつつ、本体であるユニクロを確固たるブランドにしようという挑戦は実に興味深い。今後も引き続きファーストリテイリングの動きから目が離せない。
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2009年3月18日 もうユニクラーは名乗れない