松屋 とんかつ業態
ロースカツ定食が490円という、ちょっとどうかと思うほどのワンコイン戦略を推し進めているが、さらなるチャレンジを始めたというのでやってきたのだ。
インプレッションの前に、この業態についての予備知識を少々。元々とんかつのファストフード業態の先鞭をつけたのは、ホームセンターのアークランドサカモトが展開する「かつや」であった。
かつや(アークランドサービス公式)
かつや(Wikipedia)
とんかつチェーンは憎しみを込めてムダに激しい競争をしているのだが、これらの人たちは目の前のライバルのことにしか興味がないようで、ファストフード業態はガラ開きだった。そのほとんどを「かつや」が独占している状態だったところに、松屋がチキン亭をブラッシュアップして参入してきた、というわけである。
前述の「さらなるチャレンジ」というのは、客単価を下げるべく丼メニューを増やしているということ。唐揚げ丼が390円なのだという。吉野家の牛丼が380円。完全にバッティングする。
立川駅南口の店に入ると、唐揚げ丼だけでなくソースチキンカツ丼も390円とある。なんとなくこちらを注文。ネットを徘徊していたらメニューの写真を撮っている人がいたので、それにリンクしておく。この三鷹店というのは、松屋本社ビル1Fに作った店だ。東証一部上場企業が仕掛けるデフレ対応業態の迫力みたいなものがそこはかとなく漂う。
午後4時前というアイドルタイムだったためか、注文を受けてから揚げ始めたようで、通常の松屋に慣れた身には長く感じたものの、測定では6分ほどで提供されたので決して遅くはない。もっともほかに客が3人しかいない状況でこれ以上遅いのはダメだろう。ピークタイムにはおそらく見込み生産をするはずなので、むしろ混んでいる時間帯の方が提供時間は短いのかもしれない。
味はというと、揚げたての揚げ物だから大丈夫。日常利用に十分対応できる。揚げ物チェーンを展開する上での最大のネックは、揚げる職人の確保が難しいということだ。だから揚げ物ファストフードチェーンの嚆矢である天丼のてんやも、高性能のフライヤーが開発されてはじめて成立したわけだ。そして近年、そのフライヤーの技術向上が著しい。バイトでもけっこうまともな揚げ物が作れるようになっているという。松八がどの機種を導入しているかは知らないが、たとえばパロマは去年、フライヤーで全米レストラン協会の業務用厨房機器革新技術賞を受賞している。興味のある方はカタログなども見てみるとよろしいが、200万円もかからずに文句も言わず働き続ける職人を雇えると思ったら、導入しない手はない。
結論を言うと、炭水化物+油物という腹にたまるハイカロリーメニューが500円どころか400円を割ってくると、強烈な価格訴求力を持つ。松八を全国的なナショナルチェーンまでもっていけるかどうかは、再投資にまわせるだけの利益を上げられるかという別の問題が関わってくるのだが、少なくとも店舗のポテンシャルとしては十分だと思える。丼のラインナップを増やし、プライスラインを上げなければ、100店舗単位の規模になっても不思議ではないと感じた。
さて、食うだけ食ってちょっと胸焼けになったことだし、同じく立川にある、デフレ対応チェーンの大本命に向かおう。そう、アレである、アレ。(そのうち続く)
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