展開初期の頃に2,3回チェックしたことがあるのだが、検索窓に入れてみたらその時のことが書いてあった。04年12月9日と05年8月18日だ。やっぱり文句を言っている。カレーがレトルトっぽさ全開でボンカレークオリティだとかなんだとか。しかし今日ここに書こうとしているのは、まずいことがわかっている味のことではない。改めて思うがなんで行ったんだろう。でも行ってよかったよ。
店内に入った時は気がつかなかったのだ。カウンターの席によっこらせと座った時、ギョッとした。それぞれの着座位置のテーブルに、タモリの笑顔がある。でかいシールが貼られているのだ。アコムの。店内を見回すとあそこにタモリのポスター、ここにぶらさげるタイプの小旗、紙ナプキンはすべてアコムのポケットティッシュだ。なな、なんだこの店と思っていると、店員が食券をとりにきた。アコムのロゴ入りエプロンをしている。えー。車両丸ごと一社広告という電車があるけど、そのつもりなんだろうか。でもここ一応、いくら低価格カテゴリといってもレストランでしょう。こんな状況でレストできる人間がいたらお目にかかりたい。
「目を開けているかぎり必ず「金を借りろ」というメッセージが見える環境でメシを食うのが、こんな店に来るような輩にはお似合いだ」という野村プリンシパルからのメッセージはたしかに受け取った。プライベートエクイティ業の方から見れば、そんなものなのであろう。しかしなあ、目の前のバイトの子がしゃべってたんだ。
女の子「このティッシュいつ渡すんですか?」
おじさん店員「食券受け取った時かなあ」
「いらないって言われたら?」
「あー、そういう時は渡さなくていいんじゃない?」
いやがってるんだか半笑いなんだか、どうにも微妙な表情で尋ねている。そりゃ飲食のバイトをするつもりだったのにサラ金のティッシュ配りをやらされるとなったら「話がちがう」と言いたくもなるよ。
過払い金支払い、金利引き下げと、サラ金業界の環境が変わったために今までよりも信用スコアが高い層でなければ貸せないようになった。起用タレントの変化もそのあたりのことを受けてのことだろうということは最近書いた。しかし、それでもやっぱりサラ金業はこういう店に来る層に狙いを定めてるんだなあ、と。
すかいらーくを経営していた横川家にいいように丸め込まれた金融エリートが、この案件でどれほど苦しんでいるかについてのエントリーにリンクしておく。これとかこれとか。だからといって、ちょっとでも金になるなら店本来の仕事(快適な食事の時間を提供すること)などどうでもいいというこの姿勢は、結局のところ野村の首を締めているようにしか見えない。また、レストランとしてひどい状態であることもさることながら、アコムにしたってここまでされて「じゃあ金を借りよう」と思う人間がいると思っているのだろうか。思ってるからやってるのか。なにかずいぶん終末的なものを見てしまった気がする。
店を出た時、Sガストの店頭にアコムののぼりが立っているのに気づいた。入店時には気がつかなかった。もしかしたら無意識にこの店頭の異様さが気になって、まずいことがわかっているのに入店したのかもしれない。
野村は大赤字な上に、日興を三井住友が買ったために、長年不動の座だった証券業トップの地位すら危うくなっている。今の野村ぐらい「貧すれば鈍する」という言葉が似合う会社もない。