サイゼリヤやっちまったー!
ってちょうど一ヶ月前に書いたような。気のせいかしら。まあいい。中国にメラミンを入れられ株価は一時暴落したのだが、景気悪化による低価格カテゴリー業態の好調予測により戻していた。円高メリットを大いに受けられるという材料もあり、むしろ混入発覚以前よりも高くなっていたほどである。なのに……
11月末の為替レートが8月末に比べ、大幅な円高となる予想から、営業外費用としてデリバティブ契約から多額のデリバティブ評価損が発生する見込みであることが判明した。損失約140億円の内訳としては2007年10月22日に約定のFX参照型豪ドルクーポンスワップが71.3億円、2008年2月7日に約定のFX参照型豪ドルクーポンスワップが50.2億円。だはー。あえてサイゼリヤの立場で考えれば、メルボルンには事業の核となる巨大食品工場があり、豪ドルでの支払いもたくさんあるのだから豪ドルで運用していました、ということだろう。
しかし、変な商品を買ってレバレッジをかけていたのではないかという疑いを持ってしまうのは、サイゼリヤには忘れてもらいたい過去があるからだ。99年のことである。金融商品で損をしたというより、詐欺にあったのだが。
企業事件事故ファイル プリンストン債券問題(広報室21)
入ってくる金を償還にまわしているうちに使途不明金が大きくなって自転車操業終了、事件化へという、あまりにやり口が単純すぎて被害を申告するのも恥ずかしいという事件であった。日本企業の投資総額1200億円。上場企業ってこんなに低レベルなのかとさんざん笑われたものだが、ここにサイゼリヤは他に比べれば小額とはいえ5億円突っ込んでいた。外モノというか、外貨建てデリバティブが好きなのは、理系だけに数字の扱いに自信を持っているからだろうか。
こういう外モノが好きな会社というのは同じような間違いを何度もする傾向がある。その代表はスーツの青山商事なのだが。下手の横好きとしかいいようがない。そういえばどちらもチェーンストアだな。
詳しい商品の内容はまだわからないが、手持ちの豪ドルに単純にレバレッジをかけたわけではないようだ。単純な通貨スワップでもないのかもしれない。サイゼリヤは面白い試みもしているし、いろいろ期待しているのだが、おとなしく食堂業だけやっている気にはなれないものだろうか。
ともあれ今日の取引終了後に開示、このまま3日間取引できないわけで、楽しかるべき連休もサイゼリヤ株主は悲惨である。週明け火曜からはストップ安確定だし。合掌。あー、蛇足だが以前推奨したアレはこういう心配はないです。
(追記 20:58)先ほど詳報がupされた。
サイゼリヤ、デリバティブ契約で140億円の評価損(読売)
2008年9〜11月期決算で損失計上する。同社は09年8月期連結決算で80億円の経常利益を見込んでいたが、正垣泰彦社長は同日の記者会見で、「現在の(為替)状況が続けば、経常赤字になる可能性がある」と述べた。解約できる契約なら、なんでここまで引っ張ったのか。いつか戻ると思っていたのだろう。反対のポジションを立ててヘッジしようという人間は誰もいなかったのだろうか?この判断ミス一発で3〜4年分の純利益を吹っ飛ばしてしまうわけで、現場でコツコツ働いている社員たちのやる気を大いに削ぐことになるだろう。経営陣への責任追及もあろうし、もしかしたらこの出来事はサイゼリヤにとって重要な転換点になるかもしれない。
サイゼリヤは、オーストラリアの食品子会社からハンバーグやソースなどを豪ドル建てで仕入れている。
サイゼリヤは為替相場が円安で推移すると見込んで、為替変動による輸入コストの増加を抑えるため、昨年10月に1豪ドルを78円で買うことができるデリバティブの契約と、08年2月に1豪ドルを69・90円で購入できる契約を欧州の証券会社と結んだ。一時は100円前後まで円安が進んだが、その後、世界的な金融危機の影響で、1豪ドル=60円前後まで円高・豪ドル安が進んだ。
豪ドルが想定以上に安くなったため、デリバティブの契約上、1豪ドルあたり最大600円を支払わなくてはならなくなり、損失が発生することになった。サイゼリヤは、今後、デリバティブの解約などの措置も検討するという。
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しれっと復帰したが、2週間更新しなかったのははじめてかな。ようやく書く気になったこのエントリーにしても、保存ボタンを押した瞬間にパソコンが固まりまた立ち上げてやり直しと、なかなかスムーズに書かせてもらえない。まだ休んでろということか。もうしばらくはこんな感じかも。