高裁は、適正な買い付け価格を独自に算出し、「1株33万6966円」と決定した。レックスが設定した「23万円」を約47%上回る。ものすごくまともな判断で逆に驚いた。経営者が自ら悪い業績予想を出し、株価が下がりきったところでMBOをして株主から強制的に株を買い上げるという、ほとんど詐欺のような手法が否定されたのは(当然のこととはいえ)喜ばしい。もっとも、ほとんどの株主はすでに買い取りに応じてしまっているので関係ないけれども。ただ、今後は泣き寝入りする株主が激減することは間違いない。いいニュースである。
レックスは「決定文を検討中」(広報)として最高裁に特別抗告するかどうかを明らかにしていない。決定が確定すれば、原告の株主(119人)はレックスに決定価格で株の買い取りを求めることができる。
ただ、申し立てをせず、レックスの買い取りに応じた9割超の元株主に決定の効力は及ばない。
あと、am/pmの売却交渉が不調だとか。
am/pmの売却は難航も、価格やFCの調整などがカギ(ロイター)
フランチャイジーとの交渉を個別に行わなければならないので、実際どれぐらいの統合コストがかかるのか読みきれないのがFCが主体の会社のやっかいなところである。率直に申し上げてざまぁと言うほかない。
<関連>2006年11月11日 経営者の逃亡先
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衣料品世界3位「H&M」、日本1号店が開店(読売)
記事によって行列が3000人だの5000人だのといろいろだが、そんなに先着500人にくれるTシャツが欲しかったのかと。店のカテゴリーとしてはユニクロみたいなもんなんだが。ただ、ユニクロと違うのはホットファッションを中心に扱う店だということ。ワンシーズンしか着られない流行のファッションをすばやく投入することがH&Mのウリである。つまり3ヶ月のうちで何回かしか着ない服だから安くなければいけないし、そういった客の要求に応えたからこそ世界的に成功できたわけだ。しかし、それは言いかえると「ワンシーズンさえ持てばいい」ということでもあり、縫製はかなりガッタガタだということがチェーンストア経営専門誌販売革新9月号に写真付きで検証されている。あちこちほつれているぐらいならともかく、胴体と袖のつなぎ目がきちんと縫われていなくて穴が開いていたのはさすがに笑った。不良品を店に並べるなw
●特集 世界最大のSPAブランド H&M ヘネス・アンド・マウリッツ面白い特集なので、ファッションには興味があるがチェーンストアには興味がないという人もどうぞ。個人的には、今の日本にワンシーズン着たらその服は捨てるという人がどれぐらいいるのか、ちょっと興味はある。自分が着る服としてはユニクラーなので当然興味はありませんが。ほっといてよ!
日本上陸の衝撃
@世界最強チェーンの正体
・あのトヨタも驚いた「ファストファッション・マジック」
A予想される戦略のシナリオ
・常識を覆すゲリラ戦? 実はチェーンストアの王道をいく
BH&Mなんて怖くない!
・直撃されるのは化石のような量販チェーンだけだ
Cアキレス腱は品質問題か
・本当に日本で通用するかどうかは 消費者が求める価値観に左右される
D「本土決戦」時代の幕開け
・ギャップ、ザラ、ユニクロ… 世界的SPAチェーンが激突!
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日本の巨大流通業のスピンオフと買収の噂が囁かれている。これについては2005年にはっきりと予想を書いておいたが、さてどうなるか。本決まりになったらあらためて検証してみよう。