しかしこの中吊りを見ると、大麻はスキャンダルだがタバコはOKという立場のように見える。その根拠はなんなのだろうか。医学的な面から大麻の方が悪いという主張をするのはかなり難しいので、おそらく法律を持ちだすのだろう。ならばその法律自体が喫煙習慣を減らす方向に世界的に変わることや、その条約を日本政府も批准したので実行する義務があるという事実を報道する気は……やはりないか。
たばこ規制枠組み条約(Wikipedia)
現在の趨勢から考えるに、この問題の最終的な解は決まっているのだと思う。薬物を政府の厳密なコントロール下に置き、中毒者が自ら減っていくのを長期間にわたりモニタリングするということになるのだろう。実は近代史において、日本はある薬物についてこの政策を実行し、成功させたことがある。しかしその具体的な経緯や方法についてはあまり知られていないようだ。だから書く価値もあるかと思ったのだが、この話題に触れると否応なしに日本近代史の功罪半ばするあれこれにも触れざるを得なくなり、その書き方が面倒くさいので、どうも手をつける気になれなかった。
それを書く気はまだ起きない。ただ、同じタバコの話題だからということであるエピソードを入れようと思ったのだが、どうもその部分だけ浮いてしまう。「私権制限」といった大文字の話でもないので、別エントリーとしてここに書くことにしよう。
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永作博美については当ブログにおいても過去に「奇跡のロリ顔」と書いたことがある。信じがたい37歳だ。しかし私はいつも不思議に思っていたのだ。「なぜ永作はヘビースモーカーなのに劣化しないのか」と。記念すべき「月刊」シリーズ第一号である「月刊 永作博美」でのロングインタビューにおいて永作は、「なぜ飛行機の中でタバコを吸ってはいけないのか。まわりの人たちはそれぐらい我慢すべきだ」といった話をした。おっさんの発言としてもかなりタチの悪い方だと思うが、永作はこれ以外にもたびたびヘビースモーカーであることをアピールしている。アピールするのはいいのだが、なぜ劣化しないのだろう?特に女性の薄い皮膚にはタバコのダメージは大きいはずなのだが……
喫煙者はしみやそばかすといった色素の異常が多く、口や目の周りにしわができることが多いのです。海外のある統計では、同年代の喫煙者と非喫煙者を比べても、喫煙者の方がしわが男性では2.5倍ほど多く、女性では3.1倍多いという結果があります。たぶん永作は乙女塾時代に不老不死の薬でも飲んだんだろう、ととりあえず結論づけておいたのだが、不思議なものは不思議である。しかし、この年来の疑問が突然氷解することとなった。それも思いがけない技術によって。
お世話カンパニー 医務室すこやか健康相談
ハイビジョンでみた芸能人がヤバ過ぎるW
うわハイビジョンこえー、などとわざわざ画像を大きくして見ていたら、永作が出てきてしまった。ええー。見たくない。いや見たい。いややっぱり見たくない。こういう逡巡の末、結局見てしまうのはお約束である。
永作博美 ハイビジョン画像
私はどこかで信じていたのだ。永作だけには奇跡が起きているのだと。重篤な薬物中毒症状だって、奇跡の前では無力なのだと。私は信じていたかった。それが。
今では思う。私は池田信夫とは別の意味で地デジには反対だ。こんな真実を伝える技術ならいらない。
しかしもうひとつ驚いたことがある。杉本彩だ。
杉本彩 ハイビジョン画像
どういう40歳なのか。このまとめサイトでも不思議がられているが、そこに杉本のポリシーがわかるサイトへのリンクがあった。杉本のブログにはこうある。
さて、タバコについてですが、私の風貌はものすごい意外である。いかにも喫煙してそうなパブリックイメージだが。なるほど……
タバコが似合うようで、「灰皿をお持ちしましょうか?」
なんて言われることも度々です。
けれど私は生まれてから一度も
タバコを吸っていたことが有りません。
勿論若い頃、興味本位で体験した事はありますし、
映画や写真集の絵の中の演出で
タバコを吸ったりはしましたけどね。
でも基本的にはタバコは大嫌い!
私が吸わないので、周りで吸って
いる人には敏感です。
タバコを吸っている女性が美肌に
なりたくて色々やっている姿はとても滑稽です。
まずは美肌には禁煙が基本でしょ!
と言いたくなります。
実を言うと私の会社の芸能部のスタッフには、
給料以外に1万円の‘禁煙手当て’を出しています。
それくらい嫌いなんですね。
タバコを吸っているかどうかだけにこの差の原因を求めるのは科学的ではない。しかしまったく関係ないとしてしまうのも、それはそれで無理がある。
ここまで読んで「男がタバコを吸うのはいいが女は吸うなというのは差別だ」と誤読して怒る人はさすがにいないだろう。もちろんこれは「おっさんなどどうなったっていいが、女性が薬物依存によって傷つけられるのはつらい」という話である。それはそれで差別だと言われたら、しかたない。
女性の体は弱い。母体として考えた場合、避けられたはずの悲劇を自ら招くことにもなりかねない。これは女性が生まれ持った与件であるから、社会のせいにしてもはじまらない。
妊娠・出産への影響(厚生労働省の最新たばこ情報)
薬物中毒はまぎれもなく「依存症」という病気である。そしてエイズなどの治療法が確立されていない病気と違い、治すことができる。しかし依存のただなかにいる人が、自ら病院に行くことはなかなか難しいだろう。勝間和代氏も著書の中で、「友人が禁煙外来に予約を入れてあげるからと言ってくれたが、さすがにそれは恥ずかしいので自らやめた」と書いている。身のまわりにこの友人や杉本彩のような、自分のことを心から心配してくれる人がいるかどうかがカギなのかもしれない。
タバコを吸うおっさんが苛立っているのは、自分をそこまで心配してくれる人などいるわけがない、という絶望もあるからだろうか。
<2011年4月25日 その後のエントリ>